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「a Perfect World」

パーフェクト・ワールド
まもなく公開される硫黄島2部作を受けてTVでもクリント・イーストウッドの特集をやっている。今日は「パーフェクト・ワールド」。

許されざる者」であれだけ衝撃を受けたのに、その翌年に撮られたこの作品はケビン・コスナーが嫌いだという理由だけで公開当時劇場に見に行かないで今日までずっと見逃してたんだよね。


舞台設定は1960年代、ケネディが暗殺される事など予想だにしない完璧な世界を信じていたアメリカ。

クリント演じるガンコなテキサスの警察署長
心理分析専門の美人とされる女史
知的だとされるケビン演じる逃亡犯
犯人と心を通わせる人質の男の子……

共感できる登場人物は一人もいないまま。
特に事件らしい事件も起こらないまま。
「悪人ではなく変わっているだけ」の犯人と世界を知らぬ少年との心が触れ合うヒューマン・ドラマというにはあまりにも嘘くさい空気が漂い続け、それを追う警察側にも緊張感がなさすぎるまま いびつな違和感をはらんだ時間が淡々と積み上げられていく。

そして唐突に、いや、必然的にはじまる破綻のワルツの恐ろしさ。
そこから後は映画の冒頭で既に知らされている結末まで、ただ瞠目する以外にない。 最後まで誰にも共感しえないままなのにこみあげてくるこの思いは一体なんだろう。
ああ、そうか。「ミスティック・リバー」と同じ苦しさなんだ。 一見「完璧」を夢見ている時代設定とその感傷に包まれているように見えるためか、「ミスティック・リバー」よりは柔らかいかもしれないけど、まぎれもなく同じ痛み。

間違いなくこれは「許されざる者」以降のイーストウッド映画だ。 凡庸で狭量なそれぞれの人間の人生観を肯定も否定もせずゆっくりと積み重ねて行くうちに、じわりじわりと浮き上がってくる歪み。唐突に訪れる「仕方のない」必然。その瞬間のおそるべき戦慄とその後に残されるもの。 その重みと辛さをただじっと見続けること。

当時「ダンシング・ウィズ・ウルブス」でアカデミーを受賞したケビン・コスナーの起用をイーストウッドが強く希望したのはひょっとして確信犯なのでは、とすら思えてしまう。 いや、「フィールド・オブ・ドリームス」のケビン・コスナーなのかもねw

素朴にパーフェクトワールドを信じたい人には感動作
配役や演出に嘘臭さを嗅ぎ付けてしまった人には失敗作
どちらにせよその奥にどっかり居座る 最近のイーストウッド映画の恐ろしさを知っているファンには やはり大傑作♪ ほんとにこの人は凄すぎです・・・



クリント・イーストウッド関連text
アカデミー賞のクリント・イーストウッド
クリント・イーストウッドのインタビュー番組
「トゥルー・クライム」
「ミリオンダラー・ベイビー」 ~七夕のハートウォーミング~
「父親たちの星条旗」
「硫黄島からの手紙」 ~悲情から非情へと向う、ただ独りきりの行軍~
「チェンジリング」~終わることのない、恐るべき現実の中で~
「グラン・トリノ」にうってつけの日


テーマ : ハリウッド映画 - ジャンル : 映画

タグ : パーフェクト・ワールド 許されざる者 クリント・イーストウッド ミスティック・リバー ケビン・コスナー ダンシング・ウィズ・ウルブス フィールド・オブ・ドリームス

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