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「理由」 または「映像の魔術師」大林宣彦について

理由


新作というか、自身の出世作とされる「転校生」のセルフリメイクである「転校生~さよならあなた」も公開間近の大林宣彦監督の2004年の作品。

あらすじ
ある台風の夜、東京・荒川区にそびえ立つ超高層マンションで4人の男女が惨殺された。被害者は当初家族と思われていたが、まったくの赤の他人であることが判明する。加害者は誰なのか。被害者は誰なのか。関係者の証言が積み重なっていくうちに、驚くべき事実が明らかになる…。(「Oricon」データベースより)

公開の形態が面白く、まず製作のWOWOWでTV放映された後に劇場公開され、さらにその後日本テレビにて放映された。最後の日本テレビでの放映も単純に劇場作品をオンエアするという形ではなかったらしく、俗に「日テレバージョン」と呼ばれているらしい。
僕が今回見たのはWOWOW放映時に録画して、見ないまま3年間ずーっとほっぽらかしてあったもの。

原作は宮部みゆきの直木賞受賞ベストセラーミステリー小説(未読)。百人以上の登場人物の証言をルポルタージュする形で築き上げられたこの物語を映像化するのは不可能だと言われていたが「映像の魔術師」大林宣彦監督がこれに挑んだということで当時話題になったそうだ。

もともとWOWOWのオリジナルドラマ「ドラマW」の企画としてスタートしたのだが、放映時には「ドラマW」の中でも最高視聴率を記録することとなり、原作者、監督の強い要望もあって後に劇場公開されることになったという。以下はキネマ旬報に載った大林監督のインタビュー。

「今回の『理由』は、WOWOWの企画で出発してるんですけど、実はその枠にははまらない。というのは、 WOWOWの番組としての予算も枠も決まったシリーズの中の一本なんですけど、宮部みゆきさんの原作は、その枠に合わせて作るのが不可能な小説なんですよ。これまでも多くの人が映画化やテレビドラマ化を試みたんだけど、宮部さんは一度も首を縦に振らなかった。その理由は、ひとつの殺人事件にいかに多くの人が絡み合っているかという、僕流に言えば人間や家族の絆が失われた時代に、殺人事件がむしろ哀しき絆となったような人間群像の物語なので、僕のシナリオの中でも主要な人物だけで107人もいるんですよ。強引にまとめていけば、10人くらいの物語にはできる。普通の映画やテレビの場合では、そうやって作るんです。しかし、それでは宮部さんが試みた集団劇としての現代の人間の絆のありようが描ききれないんですね。つまりこれをやる以上は、107人総てを画面に出さなければいけない。
 宮部さんは、僕に監督をお願いしたとWOWOWから知らされた時点で、すべて僕にお任せしますとおっしゃったんです。任された以上、僕は原作者が意図したものを映画にするのが礼節だと思います。僕はいつも原作ものを映画にするときは、作者がはじめからこの物語を映画に作ったら、どういうものになるだろうと考えるんですね。だから紙背にこめられた作者の願いを文学的にではなく映画的に表現したらこうなるよというものを作ろうという意味で、決して原作どおりではないんだけど、原作者の狙いや願いを映画にしようと。」

原作のある映画というものは、それが傑作にしろ駄作にしろどうしても「原作のファン」や「原作者」との軋轢を抱えがちなものだが、「原作に惚れ込んだ」大林監督は映画の冒頭から物語の舞台となる荒川区について、おそらくは小説の文章をそのままに膨大な字幕として使用する。時折バババッと挿入される数秒間の「血のような夕日」の猛烈なフラッシュバックを別とすれば物語の場面展開もほぼ小説の時系列通りだという。

100人余りの全員が主要人物で、しかも戦中派、団塊、バブルといったそれぞれの世代の社会的背景もそれなりに押さえつつ、長尺とはいえ160分におさめた手腕はCMディレクターで鍛えた往年の編集手腕のなせる技か。
大勢の人物がカメラ目線でインタビューに答えているという形で独白し、「事件の真相」が徐々に明らかになって行く。テレビのワイドショーのように「○○さんによる再現シーン」などの字幕も入る。

見ているうちに107人もの登場人物がごちゃごちゃにならぬようにとの配慮からか、俳優は「顔の割れた」有名どころばかりを起用している。以下は主立った俳優。
村田雄浩、岸部一徳、大和田伸也、久本雅美、宝生舞、松田美由紀、赤座美代子、風吹ジュン、山田辰夫、渡辺裕之、柄本明、渡辺えり子、菅井きん、小林聡美、古手川祐子、加瀬亮、厚木拓郎、左時枝、細山田隆人、ベンガル、伊藤歩、立川談志、南田洋子、石橋蓮司、麿赤兒、小林稔侍、宮崎将、宮崎あおい、永六輔、勝野洋、片岡鶴太郎、根岸季衣、入江若葉、嶋田久作、峰岸徹、裕木奈江、中江有里 エトセトラエトセトラ・・・

「実際にあった殺人事件の関係者たちに取材をしている」というコンセプトなため女優もみなノーメイクだった、ということを見終わってから知り、劇中最後まで古手川祐子をちゃんと識別できなかった自分に変に納得してしまった(爆)いや、素顔はなかなかいい顔だったんだけどねー。

「実際にあった殺人事件の関係者たちに取材をしている」ワイドショーのスタッフはたびたび音声マイクを支えきれずカメラフレームの中にインさせてしまう。そのうちワイドショー的な騒がれ方をした「謎の殺人事件」の真相は明らかになり、人々が忘れ去った頃に今度は事件の重要参考人の元を作家が訪れ、おそらくは「ワイドショー的ではない」小説が書かれ、さらにそれは映画化されることになる。その映画の撮影シーンの監督席に座っているのは大林宣彦本人、という楽屋落ちも用意されている。

そのシーンを見るに至り、映画ファンであれば厭が応にも思い出されてしまうのはアッバス・キアロスタミ監督のジグザグ道3部作であろう。
素人ばかりを起用した「素朴な」教訓ドラマ「友だちのうちはどこ?」と、その舞台となった街が後に実際に大地震に見舞われ「友だちのうちはどこ?」を撮影した監督がふたたびその街を訪れるというドラマ「そして人生は続く」、また「そして人生は続く」の撮影中の恋物語として展開する「オリーブの林をぬけて」といった3部作の中には、いわば「メタ・ドキュメンタリー」的な不思議な時間が流れ、見るものは現実と虚構の境目に落とし込まれてしまうのだが、もしかすると大林監督は「理由」でキアロスタミを気取ってみたかったのかな?(汗)

小説にしろ映画にしろ、疑似ドキュメンタリーというかたちでリアリティを追求する手法は特に目新しいものではないだろうが、この「理由」の場合は原作の持つドキュメンタリー的な手法を映画でもそのまま使用することにより、かえって絵空事であることを強調してしまうことになってしまったと言えるだろう。なぜならそれは「映像の魔術師」大林宣彦の作品だからヽ(・∀・)ノ

まず冒頭で前述の暴力的とも言える膨大な字幕を読むことを観客に強いらせることにより、これは「映画」ではなく小説の「映像」化なのだと宣言してしまった後は、各役者の演技力だけがものを言うことになる。それぞれの役者の長々とした「証言」を見ているうちに「これは演劇の舞台中継?」という錯覚にも襲われる。淡々とした演技あり、クサイ演技あり、素人臭い演技あり・・・107人それぞれの役者の演技を見やすい編集でまとめて見れるのはある意味お得と言えるかも?

見ていて思ったのは大林監督ってロリコンなのかなーということ。(あれ?今更ですか?(汗)「大林宣彦 ロリコン」で検索したらでてくるでてくる・・) あの風吹ジュンを全く撮ることができないくせに宮崎あおいや裕木奈江、最近CMでよく見る多部未華子といった少女の瑞々しいことといったら・・
そういえばこの人は昔から「美少女映画」がお得意なんだったっけか?
まあこの「理由」に限らずきっと大林作品とは単純に自分の好きな役者(少女?)を撮るための映像手段なのだろう。そこに自分の趣味的な映像をちりばめればできあがりw カルト的なファンが多いのもなんか納得かも。
本編も最後の最後に「すごーい」とあんぐりと口が開いてしまうローテクな映像が用意されているので未見の方はお楽しみに♪

でも「本人がどんなに熱く語ろうが大林宣彦にかかっては原作もクソもない」などという個人的な感想とは全く関係なく、「余りにも原作とかけ離れた森田芳光監督の「模倣犯」が惨憺たる出来だっただけに(宮部さんは森田監督との対談で絶句していた)、それに怒り心頭した宮部ファンの人々もこの大林版「理由」を観れば溜飲を下げるに違いない。」とネット上では語られていたりもするので、ぜひ今度はその「模倣犯」を見てみたいなーと思うのでした。


関連text:「模倣犯」

テーマ : 日本映画 - ジャンル : 映画

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about。。大林宣彦監督

大林宣彦大林 宣彦(おおばやし のぶひこ、1938年1月9日-)は"映像の魔術師"とも称される映画監督。自主製作映画の先駆者として、コマーシャル|CMディレクターとして、映画監督として、日本の映像史を最先端で切り拓いた。広島県尾道市土堂出身。広島県立尾道北高
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コメント

理由の理由

自分も観ました確かに大林ファミリー総出演感じしました現役の若い女優のまだ新人もたくさんでてましね。大林映画に多部未華子意外でした出したのにも、糸があるんでしょか?野村佑香もあした以降一作出てません。
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