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東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ1

今日は敬老の日で、東博の平常(常設)展無料観覧日。

国宝87件と重要文化財622件を含む、その総収蔵数は11万を越えるという東京国立博物館。常設展といってもな侮るなかれ。定期的に展示替えが行われていて、行くたびに見たことがない名品に出会えてお腹いっぱいになれるのだ。
昼すぎに上野駅の公園口を出たらすごい人ごみにびっくりしたけれど、東博自体はそれほど混んでいなくて一安心。やっぱ特別展とかじゃないと見る気にならないものなのかな。今日はタダなのにねえ。いやさ、空いててヨカッタ。

ただ、平常展の図録は販売されていないので家に帰ってからもう一度解説と併せて見返すことができないのが残念なのだが、独立行政法人化された2001年からは平常展に限り展示作品の撮影がOK(一部不可)となった。まあ館内は作品保護のためかなり暗いし、三脚立てられるわけではないのでどうしたってブレブレの写真ばかりになってしまうんだけど、図録とはいかないまでもお気に入りの作品はやっぱり撮りたくなってしまうというのが人情というもの。

そんなわけで今回は手ぶれピンボケ写真による、東博本館平常展のご紹介です。

東博0921 まずはジャンル別展示の1階は彫刻の間から。 彫刻といっても日本美術の彫刻はそのほとんどが仏像彫刻なので、この部屋はいつも素敵な仏様に出会えるのです。…って、さっそくピンボケですみません。。
広目天毘沙門天
今回展示されている中で好きだったのは、浄瑠璃寺の「四天王立像 広目天」(左)と道成寺の「毘沙門天立像」(右)。どちらも帝釈天に仕える四天王で広目天は西を、毘沙門天は北を守護する神様。毘沙門天は多聞天とも言う。なんでも単独で祀られるときは毘沙門天と称するそうだ。広目天が平安後期、毘沙門天が平安初期のもの。びしっとにらみを利かす広目天に対して「はぁい!」とポーズを決めたようにも見える毘沙門天はぐねぐねしてて見れば見るほどなんかとても変。右手がねじれてるような…。それにしても、どっちも踏みつけられた邪鬼が可愛すぎる!

十二神将立像 辰神/伝浄瑠璃寺伝来 次の部屋は彫刻と金工。いつもは小さめの仏像とか密教の道具である鈷杵などが展示してあるんだけど、今回は運慶様式の仏像の特集展示だった。画像は浄瑠璃寺伝来の「十二神将立像 辰神」。勝手に鎌倉バロックなどと名前を付けてしまいたくなる躍動感。しかしさっきの広目天といいこの辰神といい、浄瑠璃寺には素敵な仏像がいっぱいあるんだなあと再認識。

お次は陶磁の部屋。
昔は全く興味がなくてすっ飛ばしていたけど、だんだん焼き物の素敵さが感じられるようになってきた。でもまだ京焼の良さとかはいまひとつよくわからないかなー。最近好きになったのは美濃の織部焼。決してカッコイイってわけではないんだけど、なんというか天衣無縫な自由さが素敵。大胆不敵というかなんというかw
そしてなんともモダーンな鍋島焼。といっても有田焼と伊万里焼と鍋島焼の違いがまだそんなによくわかってなかったりもしますが…。最近まで柿右衛門様式の赤い絵付が伊万里で青いの(いわゆる染付)が有田焼だと思ってたしなあ。どうやら有田=伊万里のようで。んで、有田地方の中でも鍋島藩直営の窯で焼かれたものを鍋島と言うらしい。幕府や大名への献上品専用の窯で、当時のトップデザイナーによる最高級品が作られていたんだそうな。なので、なにしろデザインが垢抜けているのだ。
画像は左が鍋島の「色絵毘沙門亀甲文皿」右が美濃の「織部開扇向付」。
鍋島織部
法具蒔絵経箱秋草蒔絵楾菊蒔絵菓子器
陶磁器の次は漆器。少し前にサントリー美術館で「japan 蒔絵」展が開催されていたけれど、ここ東博の常設蒔絵コーナーも毎度来るたび欲しくなっちゃう漆器に出会えます。

今回は鈷杵をデザインした「法具蒔絵経箱」なんていう珍しいものが出ていた。おそらくは密教の経典を入れた箱だということで、真ん中に描かれているのが五鈷鈴、その左右に独鈷杵と三鈷杵、下に五鈷杵が配置されている。舞っているのは蓮の花びらで蓋の側面から続いているデザイン。

ちなみに僕の好みは左の画像のような秋草蒔絵。最近知ったんだけどこの菊や桐、桔梗などの秋草を配した蒔絵を高台寺蒔絵と言うそうです。「秋草蒔絵楾」というタイトルのこの漆器。楾(はぞう)とは水を注ぐための道具で、角盥(つのだらい)とセットで使うものだとか。

左下の画像は「菊花蒔絵菓子器」ということで、お菓子入れだったようです。クインシー・A・ショー氏寄贈ということなので輸出ものだったのかな?欲しいなあと思った一品。
次のコーナーは刀剣だったけど、昔からどうも興味が持てないので軽く流す。でも戦乱のなかった江戸時代の刀は装飾品として愛でられていたようで、華奢で細かい細工が施された鍔とかはちょっと面白かったかな。
画像は馬をデザインした「双馬図鍔」。コースターなんかでこんなのがあったらいいかも?w
双馬図鍔
龍涛螺鈿稜花盆龍涛螺鈿稜花盆 さて、次は中国漆工の特集展示。日本の蒔絵漆器とはまるで違う漆の数々が並ぶ。下の画像は七色に光る貝片を使った元時代の螺鈿細工「龍涛螺鈿稜花盆」。名前のうち、龍涛は絵柄を稜花は盆の形をあらわしている。
龍はいわゆる「五爪の龍」で、皇帝の象徴なんだとか。言われてみれば日本の龍は三本指だし、中華思想においてはやっぱかなーり格下らしいw。まあそれはともかくとして、夏に見た「染付」展(→ 過去text)のときにも思ったんだけど、元時代の中国っていいものが多いのかも? 他には地に塗った漆を彫って、そこに色漆をはめ込んで絵柄を作った存星という技法のものが好きだった。
民族資料コーナーは琉球の工芸の数々。全体に大らかで素朴な印象だったけど、画像の「カラカラ」という名前の酒器はちょっと欲しいなあと思った。その名の由来は、音がカラカラと鳴るからという説と、酒盛りの席などでこの酒器をめぐり「カラ(貸せ)、カラ」と声が上がったからという説があるそうだ。今でも泡盛などを容れて使われているとか。誰か沖縄に行ったらお土産にくださいw。 カラカラ
亜米利加渡来風刺武具の図
今度は歴史資料。
江戸から明治にかけての博物図譜などが展示されることも多い、好きなコーナー。
今回は「世界と日本」の特集陳列ということで、江戸時代のいい加減な世界地図とか三代目弥次さん喜多さんが西洋を旅する「万国航海西洋道中膝栗毛」なんていう滑稽本が出てましたw。
上の画像は「亜米利加渡来風刺武具の図」という黒船来航の頃に描かれた風刺画で、「この図の魚海辺に浮きあがり、それ見た異国渡来のものどもは、毒気に当てられ死んじゃった、安堵の人々手拍子腹鼓、神国バンザイめでたしめでたし」といった内容の文が添えられている。それにしてはこの武具のフグ(駄洒落じゃ)なんともカワユスw
下の鳥と猿の画像はどちらも「長崎渡来鳥獣図巻」から。オランダや中国の船から輸入した鳥獣の博物図譜なのだそうで、猿の方はヲランウータンと読めるけど、鳥の方は「朱柄鷺」と書いてなんと読むのかな?
長崎渡来鳥獣図鑑長崎渡来鳥獣図鑑
月下擣衣 1階の部屋も残すところ後2つ。本館左側面をまるまる使った大きな部屋には、明治以降の日本画や洋画、彫刻などの近代美術が展示してある。
どうしても明治以降のものって江戸以前に比べて雑味が増す印象ではあるし、そのアカデミズム権威主義に辟易としてしまう岡倉天心~横山大観などへの先入観はどうしても拭えないんだけど、今回出ていた川合玉堂の「月下擣衣」という水墨画は結構好きだった。
擣衣(とうい)とは、冬支度のために洗った着物を柔らかくして艶を出すべく砧打ちをする意味。この画像では小さくてわかりにくいけど、木立の向うに小さな人影がふたつ。実物は結構大きな掛軸でした。墨の感じがなんかよくてねー。
鷲置物月に雁図額/加納夏雄
1階最後の部屋は近代工芸の展示。今回は大好きな並河靖之の七宝は展示していなかった。画像は鈴木長吉という人による鋳金の「鷲置物」と、加納夏雄による木彫りかと思いきや鉄地を彫った「月に雁図額」。バックの黒い月は平象嵌した銀。どちらの作品にも、明治という和洋混濁の時代にいまだ残る江戸職人の血脈のようなものを感じてみたり。


あと階段下にある、本館というよりは東洋館にあるべきインド~アジアの仏像展示を軽く流して、とりあえずこれで1階の展示はおわりー。次は2階だっ!

東博中央階段

<続く> 


関連text:
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ2
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ3
 東博常設展観覧の巻
 東京国立博物館 「博物図譜-写生とそのかたち-」後期展示
 東京国立博物館 「特集陳列 旅と街道」&特別展「仏像」
 東京国立博物館 「光彩時空」& 法隆寺館、本館常設展 

関連外部リンク:
 東京国立博物館 公式サイト

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