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「グエムル -漢江の怪物-」

グエムルチラシ


2006年 韓国 ポン・ジュノ監督

たまたま晩飯の時間にwowowで放映されていて「そういやそんな映画あったよなあ。実際どんなもんかねえ」という程度で見始めたんだけど、これが見てびっくり!ちゃんと映画なのでありました(日本語変)。始めの10分ほど見逃してしまったのが悔やまれます。。

公開当時、日本のアニメの「機動警察パトレイバー WXIII 廃棄物13号」と内容が酷似している!と騒がれた(いや、当時「痛いニュース」で見かけただけなんですがw)モンスター映画。どうせまた日本のアニオタや反韓な人達が文句を言ったんだろうなあと思っていたけど、いま一度記事を読み返してみると、元々は韓国人による「enjoy Korea」という日韓リアルタイム翻訳掲示板(こんな掲示板あったんだね)への書き込みが発端だったみたい。一番始めに指摘したのは韓国人だったというのが面白いけど、結局その後は日本側からの追い討ちの嵐・・・ 
でもそんなにぎゃーぎゃー騒ぐほど「パトレイバ-3」は面白くもなかったんだけどなー。大体日本だって昔は何かにつけて西洋から猿真似とかパクリだとか言われてた気もするんだけど、その辺はどうなのよ。
つーかこの掲示板全体が日韓の似た者同士による罵り合いで構成されているようで、なかなかにイタイっす。。

振り返れば2006年という年は、春頃は領有権で韓国と揉めている竹島へ政府の海洋調査団が向うだの向わないだので「ハイタテキケイザイスイイキ」なんて言葉を耳にする機会が多かったり(→YOMIURI ONLINE特集竹島問題)、夏には北朝鮮がテポドンやノドンのミサイル発射実験を行って大騒ぎになったり(→asahi.com)、同じ頃「韓半島」という反日をテーマとした軍事映画が韓国で大ヒットしているなんていうニュースを聞いたりもして(→wikipedia)、情報操作があったのかどうかはともかく、なにかと朝鮮半島に目を向けさせられた年だった気がしています。
おそらくはそんなかんじで、僕を含め特に政治的なイデオロギーを持たぬ人々までもがなんとなーく無意識的に「反韓」な風潮だったであろう時期、さらに「パトレイバー3の猿真似」なんていう触れ込みも手伝って、「グエムル」に対する僕の脳内イメージはまんまと「いろいろやらかしてくれる韓国」という安易な文脈の中ですっかり固められてしまい、映画自体への興味はあんまりそそられることがなかったのでした。(実際日本での興行成績も良くなかったそうな)

んで今回初めて「グエムル」を見てみて、ほんと先入観というか脳内イメージってのは邪魔ばかりしていいことがなんにもないんだなあと再認識。まあ何の期待もせず、何気に見れたのはよかったんだけどねー。

ソウルの中心を流れる漢江(ハンガン)の河川敷。ある日、民衆が憩うその河川敷に突如出現した正体不明の巨大生物。多数の見物人を襲って姿をくらましたこの怪物<グエムル>に、河川敷で売店を営むパク一家の孫娘ヒョンソがさらわれてしまう。 韓国政府は<グエムル>が致死性のある危険な伝染病ウィルスの宿主だという声明を発表、厳戒令を敷く。ヒョンソの生存を信じる、一家の長男であり父親のカンドゥは、家族全員で<グエムル>に立ち向かう。 (提供元の角川ヘラルド映画のサイトより)

「グエムル」はハングルで「化物」とか「怪物」って意味らしく、上記の通り主人公一家が怪物と戦う話。
海外発注のCGで作られたグエムルのぬめぬめした質感やスピード感に溢れる動きはなかなかよかったけど、超コワイというかんじでもない。小気味よい語り口の反面、説話的描写の省略が多いので「結局なんなんだ!」と怒る人が多いのもうなずける。娘を攫われた主人公とその家族がグエムルに戦いを挑むも、誰一人突如スーパーヒーローになったりしないし、怪物を倒すカタルシスを味わえるというわけでもなく、かといって悲惨な結末というほどでもなく、グエムルを中心に見てしまうとなんとなくぐだぐだなまま物語は終わってしまって、これまたもやもやしたかんじになってしまうのもわかる気がする。また、グエムルを戦いを挑むべきなにかの象徴として見ることもできるような匂いがしないでもないし、隠蔽工作を謀る米軍や韓国政府の描写に政治的な思想を読み取る人もいてもおかしくないだろう。
てなわけで、ネット上のレビューや感想を読んでみても、前述の「パクリだ」という意見も含めて沢山の人がいろんな見方をしていて、その結果「くだらん」と「素晴らしい」のまっぷたつに評価が割れているのが面白かった。様々な側面を持つ映画、と言えば聞こえはいいけど、要はツッコミどころ満載ってこと?まあ、それはそれとしてw

この映画の一番の魅力は「おかしな人間が一生懸命生きている」ことだと思う。それで報われるわけでもなく、なにかが変わるわけでもなかったとしても、正体不明の怪物や圧力をかけてくる政府に立ち向かって行くしかない、ある意味ダメダメな主人公とそれぞれに癖のある家族。彼らが真剣になればなるほどこみ上げて来るその妙なおかしさと不思議な悲しさ美しさ。
グエムル 食事


主人公の妹パク・ナムジュを演じている女優をどっかで見た事あるなーと思ったら「子猫をお願い」(→過去text参照)に出ていたペ・ドゥナだった。
彼女の役はここ一番に弱く金メダルを取る事の出来ないアーチェリーの選手。故に(?)グエムルにもアーチェリーで立ち向かおうとする。色気もそっけもないジャージ姿でどろどろになって駆けずり回る姿は逆に色っぽくも見えたりもして。
そして映画の中盤。ようやく神出鬼没のグエムルと対峙することができたナムジュが川縁をたたーっ走るときにカメラがパンするそのショットの生々しい美しさと来たら!思わず息をのんでしまう、映画が映画たる瞬間がここにあり。パクリだとか韓国がどうのなんてことはもちろん、モンスター映画としての説話的な破綻なんかもどうでもよくなってしまう、この映画で一番好きなシーンだった。
そして、その後びしっとポーズも決めてアーチェリーで狙いを定めるも、あっけなくグエムルの尾に払われ吹っ飛ばされて死んじゃったのかと思わせるようなシリアスな場面でも、間の悪さ満点のナムジュがやっぱりどこかおかしかったりして。
グエムル ペ・ドゥナ

一番ひどい目にばかりあって、でもやっぱりその間抜けさに笑ってしまうのは主人公のカンドゥだったけど、僕的にはとにかくナムジュが最高だったなあ。

監督のポン・ジュノはamazonを始めいろんなところで「韓国のスピルバーグ」とかって紹介されているんだけど、もしそんなのを事前に読んでたらきっと見る気を無くしただろう。偏狭なイメージを決めつけ押しつけるキャッチコピーなんてものは、ほんと百害あって一利なし。まあ確かに「激突!」や「ジョーズ」なんかを撮っていた初期のスピルバーグに通じるところはあるのかもだけどさー。
なんにせよ映画的な文法がしっかりしていることは確かだし、はっとさせる瞬間を生み出せる素敵な監督だと思いました。他の監督作品も見なくっちゃー。

本当にこの映画はいろんな見方が出来るので、賛否両論まっぷたつに意見が分かれるのもまあ仕方がないんだろう。でも、どんな見方をするかで自分と感覚が合う人を見つけられるから、それはそれでいいのかもしれないね。
というわけでぜひ御一見あれ。そして感想をお聞かせくださいませ♪

予告篇ムービー
↑ハリウッド的な糞キャッチコピーが入るし
編集マジックで本編とはだいぶ違う印象だけど、
映像自体は本編のものなので、一応ご参考まで。


テーマ : 韓国映画 - ジャンル : 映画

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