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「ラヴ・ストリームス」 ~終わることが無いカサベテスの持続~

ラブストリームス1

監督:ジョン・カサベテス 
主演:ジョン・カサベテス、ジーナ・ローランズ
1984年公開

この監督の映画はうかつに見てはいけないのだ、と思い知ったがもう遅い。
映画に鼻も引っ掛けてもらえなかったというのに、
いまだずっと映画から抜け出すことができないでいる。困った。。

ジョン・カサベテスの映画といえば、大昔に見た「アメリカの影」のミンガスのベースしか覚えていない程度。あとはヒット作の「グロリア」か。それ以外の作品もテレビで放映されるたびに録画はしていたけど、ちゃんと見たことは無かった。

そんな見てないままのビデオの中から、先日何気なく「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」を見てみた。

チャイニーズ・ブッキー

でも1時間でテープを止めた。退屈だったからではなく、カサベテス映画の持続がへたれの僕にはしんどかったから。翌日に続きを30分見て、同じ日の夜にようやく最後まで見た。いきなり終わってしまった気がした。ひどい見方をしたものだと後悔する。


そして寒い寒い雨降りの今日、「ラヴ・ストリームス」を見た。今度はきっちり最後まで一気に見た。終わりかな、と思ったらまだ続き、今度は終わったなと思ったらまだ続き、「ああそうかこの映画は終わらないんだ」と気づいたらまたしても急に終わってしまった。「長かった。。」と思ってしまった2時間ちょっとの映画。
隣で見ていた妻の方がよっぽどちゃんと見れたようだった。「最後の方でいきなり出てきた裸の男は誰なんだろう」などと馬鹿な質問をして、ちょっと軽蔑した顔をされた。
限りなく大人な映画。見終わった後からじわじわ来る、持続し続ける時間。今日の僕にはきっちりとは見切れなかった、終わらない「愛」についての映画。ほんとにいつの間に僕はこんなにフヌケになってしまったんだろう。そしてフヌケなりにいまだ映画から抜け出すことができぬまま、一体なにを書いているのかもよくわからないw

というわけで、人の文章でお茶を濁すことにする。
この映画について語れる文章がそうそうあるとも思えないけど、だいたいがちゃんと見ることができなかった僕にこの映画についてなにが言えるわけでもなく。それならば黒沢清の「悪いことは言わない。一度ジョン・カサベテスを見てみたまえ。」というなんとも無責任な煽動文を紹介した方がまだましだろうということだ。
短い文なのでまるごと引用。


「娯楽がなきゃ映画とは言えないよな」という奴がいるかと思うと、「最高の娯楽は最高の芸術さ」なんて言い出す奴もいる。何でもいいのよ、とにかく私はいい映画が見たいのよ、と思ったら、悪いことは言わない、まあ一度ビデオ屋で『ビッグ・トラブル』と、そして『ラヴ・ストリームス』という映画を借りたまえ。これを撮ったジョン・カサベテスがいかに偉大な人物であったかということがわかるだろう。何てったって、スピルバーグよりもゴダールよりも偉い。彼はとことん娯楽でも芸術でもない映画を撮り続けた男だ。そこには野蛮で純粋な映画そのものがある。これは見てない人にはなんだかわからないだろうが、見た人にはわかる。とにかくそんな映画だ。映画ってこれのことだったのね、と思ったなら、続けて今度公開される『オープニング・ナイト』を見なさい。あなたはもう映画から抜け出ることができない。映画について語ることが至上の幸福になり、やがては自分で映画を撮りたくなるだろう。映画の増殖とはこういった手口でなされるのである。
 しかしこのカサベテスという男、そんなすごいことをやるからには何か誰も知らない映画の秘密を握っていたに違いなく、一度聞いてみたいものだと思っていたら、ああ何としたことか、彼は昨年唐突に死んでしまった。残念、これでまた映画は永遠の謎だ。(掲載誌不明、1990年。「映画はおそろしい」青土社 所収)


いや、この悪意に満ちた文章にうかつに乗せられてはいけない。
おそらくは手ひどいしっぺがえしを食らうだろう。
「映画から抜け出すことができなくなる」のを本当に望むのならいいけどさw
まあ、幸か不幸か現在は「ラヴ・ストリームス」のビデオは廃盤、DVD化もされていないんだけど。でもだからといって、この映画をごく一部の映画オタクにのみ独占させておきたくはない。なーんて、ちゃんと見れもしなかったくせに偉そうなことを言ってみた。
いや「別に見切れなくても構わないんだ」とここは居直ってしまおう。変にわかったような顔をしてベラベラ語ることなどできるわけない映画なんだから。
とにかく、もしもカサベテスの映画を見る機会があったなら、悪いことは言わない、面白かろうがつまらなかろうが覚悟を決めてただじっと、その持続に身を委ねることをお薦めします。それですんなり映画が素通りしてくれた人はラッキー、そうでない人は、ようこそ映画の無間地獄へw

ラブストリームス3
ラブストリームス2


ラヴ・ストリームス。
忘れた頃にまた、性懲りも無く見直すことになるであろう
ジョン・カサベテスの遺作。



関連外部リンク:ジョン・カサヴェテス - 『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”  
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