1. 無料アクセス解析

「丹下左膳 乾雲の巻・坤竜の巻・昇竜の巻」

マキノ雅弘監督 1956年 日活

フィルムセンターにて2008年1月から開催されている
「生誕百年 映画監督マキノ雅広」。
プログラム前半の最終日、「丹下左膳」の3本立てを見にでかけた。
生誕百年マキノ雅広


開映3分前に滑り込みで入場。あぶなかったー。
なんせここは開映後の入場はお断り。
客席はほぼ満席で座れないかと思ったら
ど真ん中の席が1席空いていてラッキーだった。

開映までのちょっとの間に場内アナウンス。
「本日は東京国際マラソンによる各交通機関の遅延を見込み、
 開映後の入場がございますことをあらかじめご了承くださいませ」
ふーん。そうなのね。。でもとにかく間に合ったからイイノダ。

「丹下左膳 乾雲の巻」1956年、日活。

主君の密命を受けて名刀乾雲、坤竜の二刀を奪おうとする左膳とそれを取り巻く人々の物語。冒頭で左膳は道場破りをして乾雲の一刀を奪うが、坤竜は殺された道場主の娘弥生の手に残る。離れれば互いを呼び合って哭くという伝説を持つこの刀。ウルトラQのような異様な効果音とともに、月夜に冴え光る乾雲。
この抜身に魅せられた左膳。「乾雲ヨ、泣クナ!」と、夜な夜な辻斬りをしては刀に血を吸わせている。市中を騒がす左膳を捕らえようとする大岡越前守。男装させた弥生に坤竜を持たせて夜道を歩かせ、妖刀に狂った左膳をおびき出そうとする・・・ってなオハナシ。

言わずとしれた林不忘原作の丹下左膳。
左膳役と言えば大河内伝次郎なんだろうけど、今日の左膳はマキノ映画のバイプレイヤー、水島道太郎。左利きだってことで左膳役に抜擢されたそうだ。
「シェイはタンギェ、ナはシャジェン」という大河内訛に慣れているせいか、水島左膳はなんかフツーすぎて違和感かんじまくりだったけど、口に咥えた鞘に、左手一本で「しゅたん」と刀を納める仕草なんぞはさすがにカッコイイ。
水島左膳水島左膳2


左膳に親を殺された道場の娘、弥生役の南田洋子がめちゃカワイイ。なぜか男装をして若武者姿になって左膳と立ち向かう姿も清楚可憐。それから、左膳に惚れてる櫛巻お藤役の月丘夢路の仇っぽいこと。そのいなせな立ち姿なんぞは、そのまま浮世絵になりそうだ。
お藤の周りをうろちょろしてる遊び人、鼓の与吉役のフランキー堺は後年の「幕末太陽伝」の居残り佐平次のキャラそのままに、「へらへらへったらへらへらへ~♪」と口ずさんでは悪だくみをする。

久しぶりのフィルムセンターの座席はとても座り心地がいい。あまりの心地よさと暖かい場内と寝不足のせいで、ついついうとうとしてしまう不覚。気がつけば老人の多い客席のあちこちから高イビキが聞こえて来る。そんな観客に構うことなく、御用提灯に取り囲まれた左膳の窮地で「乾雲の巻」の終わり。
はじめにも書いたけど、今日は丹下左膳デー。
このあと続編の「坤竜の巻」と完結編の「昇竜の巻」が続くのだ。

でも午後2時からの「坤竜の巻」上映まで、1時間半くらい待つわけか・・・
1階に降りて、受付で「次の上映の整理券とかは発行されるんですか?」と聞くと
「そこの椅子に順番に座っていただき次の上映を待っていただきます。
 今日の映画はそれほど混まないと思いますので、
 次の上映の30分前に来ていただければ充分座れると思いますよ」とのこと。
見ると昔喫茶店だった場所に病院の待合室のような長椅子が置いてあって、早くも次の上映を待つ人々が座っている。女の子はほとんどいない。なんにせよ、とりあえず昼飯を食わなくては。

コンビニのおにぎりでは悲しいけれど、独りだしそれほど豪華な昼食をとる気分でもなく。中央通り沿いのはなまるうどんに入るが、東京国際マラソンの見物客で長蛇の列。ヘキエキして一度は店を出たものの、他にあてもなくすぐに舞い戻る。
かま玉うどんにちくわの天ぷらをトッピングして500円。味はまあそこそこだけど、こういう店が近くにあってよかった。
午後1時すぎにフィルムセンターに戻ると、警備員の人に「あそこに座ってお待ちください」と誘導される。螺旋状に順番に座る長椅子のほぼ最後の方でしばらく待っていたら、「お待たせしました」と声がかかり階段下ロビーに整列させられた。やはり年輩のおじさんが多くてなんとなくもの悲しい雰囲気の集団。入場してさっきと同じくらいの場所に席を取る。

「丹下左膳 坤竜の巻」1956年、日活。
弥生から坤竜を託された師範代の栄三郎と左膳が遂に出会い、切合いになるまでの話。メインストーリーよりも、栄三郎に思いを寄せる弥生、弥生の思いを知りつつも遊び人の与吉の妹で茶屋娘のお艶を妻とする栄三郎、お艶に惚れているスケベ旗本の源十郎、弥生に一目惚れした丹下左膳、それを妬く櫛巻お藤のいじらしい強がり、などなどの人間模様が面白い。水島左膳にもだんだん慣れて来たかな。昼下がりの場内には相変わらずの高いびきが鳴り響く。しかし左膳はどんなに追っ手に取り囲まれても絶対にやられないやられるわけがない、というかんじw

見終わって1階に降りて、今度は順番待ちの長椅子の中ほどに席を取って休憩。
さっき はなまるうどん でずるずるうどんをすすっていた手押し車のおじいさんが、「なんか短かったなあ。ちょっとうつらうつらして気がついたら終わってるんだもの。なんか短かったなあ。あっという間に終わっちゃって全然見れなかったよ」と同年輩の人に語りかけている。
元々「乾雲の巻」「坤竜の巻」の二部作だったものを急遽三部作にしたせいなのか、確かに「坤竜の巻」は1時間くらいであっという間に終わってしまったのだった。

次の上映は午後5時からなので、二時間弱の待ち時間。本でも持ってくれば良かったなあ、と長椅子を見ると、ほとんどの席は荷物を置いて場所取りだけしてみんなどこかで時間を潰しているみたい。なるほど、さすがは日本国。まあ荷物と言っても映画のチラシが置いてあるだけだったりするのだが、どうやらそれも許される様子。先人に習い貴重品を抜いた鞄を置いて外に出て、銀座方面などをうろうろする。でも特に行きたいところもなく、結局フィルムセンターに戻って1時間ほどぼーっとしていたらば午後4時半。「順番にお並びください」という警備員の合図で、まだ戻って来ていない人の場所取りの荷物を眺めつつぞろぞろとロビーに整列する。

僕のすぐ後ろに座っていた足の悪い間の悪いおじさんは、ちょうどトイレに行っていて整列に遅れてしまった。席に戻って来て焦っている様子。
「エレベーターをご使用の方は前に出てください」と言う警備員。
出遅れたおじさんが並んでいる僕に近寄ってきて「エレベーターで行くのでお願いね」と言う。「?・・・ああ、どうも。。」と曖昧な返事をしたものの、「お願いね」ってどういうことだろう。先に入って席を取っておいてってことなのかな。どうすりゃいいんだ。
列に従い階段をのぼって行ったら、チケット売場の前におじさんが座って待っていた。なるほどねー、と納得して列に入れる。入場すると今回もまたど真ん中の席に座れた。

「丹下左膳 昇竜の巻」1956年、日活。
さっき見た「坤竜の巻」が短すぎてあんまり見所がなかった分、完結編の本作は面白かった。
逃亡する左膳に寄り添いながら、短筒ピストルを撃って戦う櫛巻お藤がめちゃカッコイイ。
「乾雲の巻」で違和感を感じていた水島左膳も、今作では鬼気迫る演技。「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経」と数珠を振って、十手軍団を威圧しながら自分を裏切った主君との決着をつけに行く阿修羅の如き左膳。捕り方に命じて道を開けさせる馬上の大岡越前守。いやー朝から頑張って見た甲斐があった。身を乗り出してクライマックスを見届ける。

待ち時間の方が長かったとは言え、一通り全部見てやっぱりよかった。
見終わって場内を見まわすと、映画学校に通っていそうな若者がちらほらいて、目を赤くしていた。チケット売場では「初めて来たんだけど今日の丹下左膳は面白かった。これからも来たいんだけど、どれがお勧めか教えてくれないですか?」と受付のお姉さんに向って熱心に話しかけてるおじさんがいた。
フィルムセンターという国立機関は、往年の映画を懐かしむ年寄と映画を学ぶ熱心な若者のために開かれているのかもなあ、と思う。
それにしても1本500円は安いよねー。
図録を売ってなかったのは残念だったけど。

今日一日、ずっとマキノ映画の艶っぽい女の仕草に目を慣らされたせいなのか、家に帰って晩飯を食いながらNHK大河ドラマの「篤姫」を見ていたら、宮崎あおいをはじめ、出て来る女の人がみんなカチコチの人形みたいだった。
やっぱりマキノの「普通」ってのはすごいんだなーと再認識。

このマキノ特集は3月末までやっているのだが、
さて、今度は何を見に来ようかな。



関連text:
 「次郎長遊侠伝 秋葉の火祭り&天城鴉」
 マキノ雅広生誕百年目
 「藤純子引退記念映画 関東緋桜一家」
 春雨春分「花と龍」

関連外部リンク:
 フィルムセンター-上映会情報


テーマ : 日本映画 - ジャンル : 映画

← 「次郎長遊侠伝 秋葉の火祭り&天城鴉」 「バベル」 →
  • 201705
  • <<
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • >>
  • 201707
トラックバック
この記事へのトラックバックurl → http://murakamit.blog71.fc2.com/tb.php/77-9ef678bf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
コメント

       お元気ですか?

おひさしぶりです
渋い映画見てるね
らしくて、うんうんうなずいてしまったよ
最近、映画見てなくて見に行きたいと思ってます

今夜はBS2で石ノ森章太郎の特集見てました
高校のときに彼のファンでした
(わたしがファンのときは石森章太郎でしたが)
彼は映画をよく見に行ったそうです
それをうまく漫画に取り入れて
あんなに素敵な作品を描けたのですね

篤姫、わたしも見てます
歴史モノが好きなので見ておりますが
そうだなぁ、ツヤっぽいと思う女の人は
樋口可南子さんくらいかなぁ・・・

では~また^^

やあやあ、久しぶり♪

ご無沙汰してます。
書き込みどうもありがとう~。

1000円くらいで入れ替え無しで見れる名画座も減った昨今、
この映画をやっていたフィルムセンターは500円という値段。
やるものはシブイものばっかなんだけどねー。

しかし、石ノ森章太郎ファンってのもシブイねw
俺は子供の頃見た、特撮ものの原作者っていう印象かな。
BS2での特集もちょこっと見たりしてました。ロボコンが懐かしかったね。

篤姫、俺的には高橋英樹が一番艶っぽいかなあ(変な意味でなくw)
コメントの投稿
 ※コメントの再編集・削除時に必要となります。
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。