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「バベル」

バベル

2007年 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督

昨年のアカデミー賞での作品紹介の映像で、その空気感がちょっと気になっていた映画。
びっと気合いを入れて見始めて、2時間15分後。
期待はずれに終わらなくてよかったんだけど、 なんかもやもやした気分が残るのはなぜ?
なにしろ象徴や隠喩で、なんらかの啓蒙をモクロむ手合の映画は嫌い。
そのせいで映画の中の「現実」が死んでしまう。
でも「バベル」は見るものに「現実」についての考察を要求しながらも
映画の中の「現実」はしっかり生きていたような気がしている不思議。
見終わった後のもやもやは、そういうことなのかもしれない。

モロッコの兄弟が体で感じた、砂まじりの山風や
アメリカの子供が見た、鶏の首から噴き出す温かい血や
灼熱の荒地をさまよう、メキシコの老婆の喉の渇きや
日本の聾唖の少女が見た、音の無いクラブの光の幻惑や。
世界に溢れる凶暴なほどになまなましい光と闇。
たぶんきっと、それだけでいいのに。
余計な「意味」なんか何もいらない。

日本の聾唖の団体からは「聾唖者のイメージが悪くなる」と、
抗議の文書が送られたそうだ。
wowowの放映で見たので、菊地凛子演じるチエコが晒した
「化物」は黒く塗りつぶされて見ることができなかった。
そんな「現実」もひっくるめて、そのうちまた見直したい。
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