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「殺人者たち」~テレビで見ようドン・シーゲル~

殺人者たち5

我らがドン、まだドナルド・シーゲル名義での1964年監督作。


マキノだルノワールだ日活ロマンポルノだドライヤー日本最終上映だ、と熱心な映画ファンを自負する人々が東奔西走しているであろう春の日々。確かに「知る人ぞ知る」というにはあまりに勿体ない、新作映画がかすむほどに魅力的なプログラムが目白押しである。
わけてもジャン・ルノワール!
またこんなにもまとめて見ることができる機会がやってくるなんて!

けれども、例えば「ピクニック」を見たことが無い人には、街のあちこちに晒されたシルヴィア・バタイユの恍惚とした表情もまったく破廉恥に映ることもなく、「親子二代、印象派の系譜」などという通り一遍のわかりやすい文脈に押し固められてしまうだけなのかもしれない。
シルヴィア・バタイユ

なーんて、ばらまかれた宣伝の安易な不道徳さを嘆く暇があるのなら、せっせと映画館に通って、ルノワールの歓喜にまみれるべきなのだとも思いつつ、結局今回は1本も見に行かぬまま、特集も間もなく終わる。「金が無いから」という理由だけでもなさそうなのは、怠惰なのか何なのか。

ドライヤー特集も、明日の生ピアノ伴奏付きの「裁かるるジャンヌ」ぐらいは見に行きたいなあと思っていたけど、なんだかそれほど敬虔な気分でもなく。それにフィルムセンターならともかく、アテネフランセはどうもなんか苦手。
と、結局居間に寝転がりテレビ映画にうつつを抜かす今日この頃。


昨日は昼間にテレビ東京でドン・シーゲルの「突破口!」をやっていた。何気なく見始めたのにもかかわらず、序盤からずっとタイトに進む語り口にもう何度も見ているというのに、トイレに立つきっかけがまるでない。雨の中、遅番で仕事の奥様を車で駅まで送るため、ようやく中座。帰ってきて最後まで見てしまう。しかしウォルター・マッソーにはツナギがよく似合う。
マッソー

左のおっさんがウォルター・マッソー♪


今日は今日とて昨日ちゃんと見れなかった仕返しにと、ずいぶん昔に録画したまま見ていなかった「殺人者たち」を見た。オープニング・テロップにリー・マーヴィン、ジョン・カサベテス、ロナルド・レーガンと立て続けに並ぶ名前にまずぞくぞくさせられて映画が始まる。

冒頭で盲学校に乗り込んだ、リー・マーヴィンとクルー・ギャラガーは、花瓶を倒して床にびたびた垂れる水の音で盲人をビビらせ、まず非情さをアピール。
その後あっと言う間に標的であるカサベテスを見つけ出し、アタッシュケースから取り出したサイレンサー付のピストルで、プスプスプスと手際よく射殺。
クールでプロフェッショナルなヒットマンのこの二人組、絶対出会いたくはないけれど、どこか飄々としていて憎めないところがこの映画の一番の魅力か。
殺人者たち1

サングラスにタイトなスーツと細いネクタイ、手にはアタッシュケースというこの出で立ちは「ブルース・ブラザーズ」「レザボア・ドッグス」「メン・イン・ブラック」といったB級映画に脈々と引き継がれているのは言うまでもない。

物語は、死んだカサベテスの裏に隠された大金を狙う二人の殺し屋の道中と、関係者による回想シーンが組み合わさって小気味いいリズムで進行していくシーゲル節。
とはいえ後年の「突破口!」ほどにはドライでなく、古きフィルム・ノワールの残り香がほんのり漂うハードボイルド。ダンスホールでジャズ・シンガーのナンシー・ウィルソンが甘いバラードを聴かせてくれたりもする。悪女役のアンジー・ディッキンソンはきっちりコケティッシュだし、ギャングのボス役のロナルド・レーガンも下手は下手なりに愛嬌たっぷりで憎めない。
殺人者たち3

アンジー・ディッキンソンとゴーカートを楽しむF1ドライバー役のカサベテス。

しかし、カサベテスとレーガンとマーヴィンがそれぞれを殺し合う映画なんて、今から考えたらなんて豪華なB級映画だろう。しかも監督がシーゲルときた日にゃあ♪
聞けば元々はテレビドラマの企画だったところが、残虐すぎるという理由でR指定の映画になったのだとか。なるほど折しもケネディ暗殺の頃か。

弟子ともいうべきクリント・イーストウッドは、いつしかジョン・フォードをも越えて、軽々しくうかつにテレビでは見れなくなってしまったのだし、きっとこんなことを言うとテレビを蔑視する映画ファンに怒られそうだけど、ドン・シーゲルの映画はテレビがよく似合うと思う。
考えてみれば、テレビの吹き替え映画を見て育った俺らの世代は、美しくはない70年代独特の荒れたカラーのテレビ映画が染み付いているのだろうし、どこを切っても面白いドン・シーゲルなんかは、気張らずにテレビで見るにはやっぱりうってつけなのかもしれないなあ、などと不遜なことを考えてみたり。

そういや、ハワード・ホークスの助監督をしていたドン・シーゲルの助監督を サム・ペキンパーがやっていたということなんかを最近知ったけど 、職人気質の小気味いい低予算映画の系譜は、現在どうなっているのかな。 まさかタランティーノなわけもなし、コーエン兄弟の器でもなし。 まあそうした映画史なんぞはどうでもいいか。
やっぱり俺はごろりと床に寝そべって、トイレに立つきっかけを失ったまま、ドン・シーゲルの映画をテレビで見るのが性に合っているらしいのだからw

なにしろとにかく「殺人者たち」はリー・マーヴィンがよかった。
1964年ということで幾分若く見えるものの、やっぱしどこまでもシブイおっさん。
ラストシーンのマーヴィンは愁眉!
殺人者たち4


The Killers Trailer(YouTube)

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