
バフティヤル・フドイナザーロフ監督
2006年 ロシア 日本劇場未公開作品
原題「Танкер Танго」(TANKER TANGO)
パッケージ裏のキャッチコピーには「バルト海上で渦巻くテロリストによる陰謀?―大人気ジャンル【海洋アクション】最新作!」なーんて書いてあるけど、これを信じちゃあいけません。
これはフドイナザーロフがこれまでに撮ってきた「ルナパパ」や「コシュバコシュ」同様、荒れ地に生きるたくましき人々の物語。
きっとプロデューサーとしてはハリウッドみたいな映画を作りたかったのかもしれないけれど、もしそうなのであれば起用すべき監督を間違えちゃったんだろうなー。
主人公のグレコフは、親友に共同出資の会社を乗っ取られて、タンゴという名の小さなタンカー一隻以外、すべてを失ってしまった男。

どこかおぼっちゃまっぽいグレコフ
再起をかけてロシアの軍事基地から石油の横流しをして儲けようとするも、海上油田基地爆破という悪だくみの罠にはまってしまう。
そうとは知らぬグレコフは、軍事基地のある港町で美しき未婚の母アンナと文字通り爆発的な出会いをするのであった…

勝ち気なヒロイン、アンナ
でも残念ながら、久々のフドイナザーロフに大満足!とまではいかず。。
いや別にCG使わない海洋アクションがチャチだとか、そういうことではもちろんなくて、いつも通り男はみんなやんちゃでガンコだし女は強くてめちゃ色っぽいし、タンカーも潜水艦も水陸両用戦車も自転車もすばらしかったんだけど、なーんか物足りないような・・・と思ったら、ロシアのサイトで見かけたこの写真のシーンがどこにもない!なんで!?

スチール見るだけでもこのシーンすごくいいのに…
調べてみたら、ロシアの映画紹介サイトでは110分のはずの映画が、購入したDVDでは98分。残りの12分はどこへ行った!
『タンカー・タンゴ』のネット動画も見返してみたら、DVDにはないシーンをいくつも発見。。主人公たちのデートのシーンやヒロインと酒場の女主人との交流などの「海洋アクション」的でない部分がバッサリ切られている。
アクションものとして売るために、「劇場未公開作だしどうせわかりっこないだろう」と誰かが(誰だ!)勝手にカットしたらしい(怒)
始めにも書いたけど、この映画は海洋アクションものにくくられるものではないし、油田爆破の陰謀とかもフドイナザーロフにかかればやんちゃな男どもの悪だくみにすぎないんだし、せっかく男と女のたくましい生き様を対等に描いてるのに、なぜ女性部分だけを切るのだ!と、恨めしくDVDパッケージを眺める。

そうか、この映画は「タンカー・タンゴ」じゃなくて「タンカー・アタック」なわけか…。大事なのはタンカーよりもタンゴの部分なんだろうに!著作権団体は、二次利用とかなんかよりもこういうことにこそ目くじらを立てるべきじゃないの?
と文句ぶーぶーだったりもするけれど、それでもやっぱり一見の価値はあり。
当たり前だけど、どこを切ってもフドイナザーロフ。
ネット上の情報があまりにも少ないので、魅力的な登場人物たちをちょっとご紹介。

海辺のバーの女主人。ちょっとしか出てこないけど、いい味だしてる熟女w

アンナのお父さん。『ルナ・パパ』同様、娘に近づく男にはめちゃ怖い…

軍事基地の司令官と旧友の隊長さん。渋いオヤジなくせに二人ともクソガキな性格

どこか壊れてるグレコフの悪友、トレズニャク
こいつの奔放で刹那的な生き様は、まるで「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドのようだ。
そして、グレコフとアンナのつかず離れず逢瀬のシーンもいくつか。

アンナの家におしかけるグレコフ

鳩が飛びかう灯台にて

雨のバーにグレコフを訪ねるアンナ

雨の日の自転車の二人乗りはとても危険
水と火が交錯する中を、様々な立場の男と女の思わくと油田爆破の陰謀が、絡み合いながら展開してゆく物語。いつの日か、完全版の「タンカー・タンゴ」が見れることを切に願う。

関連text:
あなたはバフティヤル・フドイナザーロフ監督を知っていますか?
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)