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掛け軸ジェネレーター

テレビ大阪サイト

やっぱ大阪のセンスってすごい・・・絶対真似できないもんなー。。

http://www.tv-osaka.co.jp/jakuchu/

「京都 もうひとつの歴史 世界を虜にしたRimpaと若冲~知られざる美の系譜を探る!~」(テレビ大阪/12月31日12:30放映予定)のサイトですー。

ちなみにこのサイト内に掛け軸ジェネレーターなるものがあって
若冲の絵のパーツを福笑いみたいに組み合わせて
こんな風なオリジナルの掛け軸を作ることができますよんw

つーか大晦日テレビ東京見なくちゃw

京都 相国寺承天閣美術館 「若冲」展

若冲展チラシ

この展覧会を見るために京都まで行ってきましたー。(→公式サイト


平成11年から16年までずっと修復が行われていた国宝の伊藤若冲筆「動植綵絵」30幅が、昨年の春から秋にかけて、皇居にある三の丸尚蔵館で6幅ずつ全5期にわけて無料公開されていた(→公式サイト)。移り行く季節とともに皇居に通うたび、毎回異なる若冲の濃厚でシュールな世界にひたれるのがすごく楽しかった。
向日葵雄鶏図
動植綵絵」より「向日葵雄鶏図」


夏には東京国立博物館でも、若冲の蒐集家として名高いジョー・プライスのコレクションを集めた「若冲と江戸絵画展」(→公式サイト)が開催されてたし、昨年はほんと若冲一色の年だったなあ。そういえば静岡美術館にまで足を伸ばしたりもしたんだったっけ。(過去の日記参照)

今は皇居にある「動植綵絵」だけど、もともとは「釈迦三尊図」全3幅と併せて伊藤若冲が京都相国寺に寄進したものだった。毎年相国寺で行われる観音懺法という行事の際には「釈迦三尊図」「動植綵絵」の全33幅を相国寺方丈に配していたそうな。
しかし、明治22年に廃仏毀釈運動で存亡の危機に瀕していた相国寺は、1万円の下賜金で「動植綵絵」30幅を皇室に献上し、これを資金に境内地一万八千坪(!)を買い戻せたという。

今年は相国寺の開基、足利義満の没後600年にあたるそうで、これを機として約120年ぶりに「動植綵絵」が相国寺に里帰りすることになった。
今回の展示場の相国寺境内にある承天閣美術館は、1984年に相国寺創建600年を記念して設立されたそうだけど、その設計時に「いつの日か「動植綵絵」の里帰りが叶ったときに一室で展示が出来るように」と配慮して建築されたんだって。まさに願ったり叶ったりとはこのこと。

なにはともあれ、三の丸尚蔵館で6幅ずつ別々に見たときでもめちゃめちゃすごかった「動植綵絵」が一斉に展示されると聞いては「これはもう行くしかないっしょ!」と、去年からずっと胸が躍っていたわけで、おそらく僕と同じように去年若冲に魅せられてしまった多くの人々が同じ思いだったに違いない。きっと全国からたくさんの人が見に来るんだろうなー。
でも展示期間は2007年5月13日~ 6月3日と1ヶ月もないので大混雑は必至。。いや、こんな空前絶後の展示なんだもの。それもまた当然だろう、、とネットで事前情報や混雑状況などを何日も前から調べたりして、相当気合いを入れてでかけたのでしたw

京都入りした5月29日は既に午後だったので、その日は広隆寺とかを見仏して終わり。シーズンオフの太秦はなんだかとても寂しげだった。広隆寺の仏像は面白かったんだけどねー。
翌30日朝8時半、いよいよ相国寺へ。

若冲2

昨日までの天気は一転、朝からどしゃぶりだったけど「ラッキー。雨のおかげでちょっとは空いてるかも」と天に感謝する有様w 
最終週だったので8時半で大丈夫かなあ、と心配していたけど既に並んでいたのは50人くらいだったろうか。このまま開館時間の10時まで待つのかなーと思っていたら9時すぎに入場開始。どきどきどきどき。チケット買ってから会場入口までちょっと歩く。歩きながら傘や荷物ごそごそしてたら、あれ、チケットがない!「落とした!?いやこんな数メートルしか歩いてないのにそんなはずは!えーでもないー。どうしよう。。」と頭真っ白になって半べそかいて戻ると後ろから来た人が拾ってくれてました・・(少し落ち着け

若冲4

そんなこんなで、いよいよ入場~。

第1会場では水墨画がメイン。鶴や鯉の掛け軸や川を渡る布袋さんのお尻なんかもあった。鹿苑寺(金閣)のふすま絵は若冲お得意の葡萄図。芭蕉も迫力だった。
布袋渡河図
布袋渡河図


でもはやる心は抑えられずどこか気もソゾロなまま、50メートルくらいの通路を歩いて第二会場へ。


  ばーーーーん!


薄暗い大広間の真正面に釈迦三尊図が。その横に動植綵絵が左右に3幅ずつ。残りは左右の壁にずらーっと並んでいて、そのすべてが一斉に目に飛び込んできた。
(会場の様子はこちらから→ブロガー向け先行プレビューに行かれた方のブログ


  も・の・す・ご・い。


去年全てじっくり見たはずの動植綵絵が、ここではまるで違って見える。
釈迦三尊含めた全部合わせてはじめて完成だったんだ。
全部揃ったら絶対すごいと思っていたけど、予想を遥かに上回るすごさにボーゼン。

まだそんなに混んでなかったので人垣もそれほど邪魔にならず、しばらく真ん中に立ってぐるぐる見回していた。
三の丸尚蔵館で見たときは、1幅1幅のおもしろさや変さがある意味グロかったりもして、それがシュールで素敵だったんだけど、この部屋で見る全幅はほんとに全然違う。
不思議な形のままぴたりと静止していたはずの鯛や雀や鶏たちが、すべてが活き活きと脈打ち動き出すような感じ。そしてその真ん中に静かな静かな釈迦三尊。
やべーこみあげてきたよ、と思う間もなくだーだー泣いてしまいました。。

しばらくしてちょっと落ち着いたので第1会場に戻ってみたらもう結構な人だかり。一応もう一度ひと通り見てまた第2会場へ。本当にずーっとこの部屋にいたい、って思いながら真ん中で立ち尽くしてしまう。
もちろん近寄って1幅ずつ見たりもしたんだけど、なんというか絵を鑑賞するなんて落ち着きはらった状態ではないんだろう。近寄っても何を見てるのか自分でよくわからない(爆)だって、隣にもその隣にもたくさんの生き物がいてそれぞれきらきら輝いたりわさわさ動いたりしてるんだもの。

これは展覧会なんてものじゃない。呪術的もとい宗教的な「ハレ」の祝祭空間なんだ。釈迦三尊、動植綵絵、そして次第に増えてくる人々たちの晴れがましく嬉しそうな顔、顔、顔。すべてが犇めきあい、蠢きだすかんじ。日常とは違う異常な恒常(書いててわけわからん)。そらぁ涙も溢れるわさ。

なんてかんじですっかり酔っぱらったようにうるうるしているうちに、第2会場もかなり混雑してきた。名残惜しみつつ出口へ向ったのは10時半過ぎぐらいかな。
その頃には第2会場入口でも入場規制で待たされている行列ができていた。

カタログ買って、外のミュージアムショップで鶴の手ぬぐい買って外に出たら長蛇の列。
しばらく歩いてから帽子をかぶっていないことに気づいた。たしか第2会場で思わず脱帽してずっと手に持ってたはずなのに、ない!(またかよ。。)
荷物を引っくり返しても見つからないので出口まで戻ってスタッフの人に会場を探してもらうが大混雑で見つかるわけもなし。「まあ帽子なくしても別にいいかー」ぐらいに思ってたけど、もし見つかったら着払いで送ってくれるというので一応連絡先を書くためにカタログ売場の方まで引き返す。「おお。もう一回遠くから見れるかも?」とか邪心を抱きつつ歩いて行くと、カタログ売場の横にある休憩用の椅子が並ぶ窓際に黒い帽子が置いてあるのが外から見えた。「あれですあれです」と思わず口走ってしまったのでスタッフの人が取りに行ってくれて中には入れませんでした(爆)
若冲カタログ
ハードカバーのカタログ。裏表紙は鳳凰図。

その後近くのちょっとタカビーなお姉さんが切り盛りしてる喫茶店でお茶をしたときも、荷物整理をしようとカタログやらなんやらでパンパンにふくれあがった鞄に手をつっこんでゴソゴソやっていたら、左手の薬指の先に痛みが走り見てみたら血がどくどくとでてくるでてくる。。
どうやら裸で突っ込んであった4枚歯のカミソリに無造作に触ってしまったらしい(怖
ティッシュと輪ゴムで止血しました。。

チケット落として帽子忘れて最後に出血w。まあ、それほど気が動転していたのかなあ。
お茶しながら止血しながらもまだ胸が熱くなって泣きそうになってたものな・・・
京都に住んでたら絶対もう一回行っただろうなあ。二泊三日の旅にしとけばよかったなあ。


昼飯食って雨上がりの午後、新緑モミジの東福寺を回ってから
若冲のお墓と若冲が下絵を描いたという五百羅漢の石仏がある石峯寺へ。
濡れた竹林の中にたたずむお釈迦様と羅漢さんがとても素敵だった。
寺自体も中国風な造りが素敵だったし、「雨上がりで暑いし蚊が多いから」と団扇を貸してくださったお寺の人も嬉しかった。

でも今回の相国寺の若冲展を見に来たたくさんの人が、やはり石峯寺を訪れたのはいいとして、その中の誰かが30体もの石仏を倒したり割ったりした、という事件があったと聞いて悲しくなった。お寺の人が応急処置をしてくれてたおかげで、ぱっと見ただけでは気がつかなかったんだけど、ほんと、なんなんだろうね。
石峯寺1
釈迦生誕
天と地を指差してすっくと立つ「天上天下唯我独尊」のポーズなんだろうけど、どうみても「いやぁー」とぽりぽり頭をかいているようにしか見えないw
なんでこんな愛らしいものを壊すかな・・・
腹が立つ、というより、わからない。その場の勢いとかノリとかなんだとしても、やっぱりまったくわからない。それほどここのお寺と五百羅漢は破壊や悪意などとは無縁の場所だったんだよね。

と、まあ、こんなかんじで待ち望んでいた若冲詣では終わったのでした。
東京に帰ってきてから何日か経つけど、まだあの会場の空気に胸が震える。
今日6月3日は若冲展の最終日。動植綵絵はまた皇居に戻されてしまい、あの空間は消える。
それとも今年の観音懺法(6/17)では、釈迦三尊とともに動植綵絵が掛けられるのだろうか。ああ、もしそうなら、、見に行きたい(爆)



★6月25日 追記★
相国寺が「釈迦三尊像」(三幅)と「動植綵絵」(三十幅)の精密な複製を発注しているとのこと。すでに宮内庁の許可を得て作業を進めており、釈迦三尊像の複製画は完成し相国寺に納められた。すべての複製を4年後に完成させ、年に一度一般公開をするという。「観音懺法」の際にも掲げる計画もあるそうです。
複製は、等倍のフィルムで撮影し、顔料を多く含むインクで木版画のように1色ずつ手作業で色を重ねる「コロタイプ」と呼ばれる印刷技術によるものだそうで、自然な濃淡表現ができるという。費用は1幅700万円以上だって!
ものすごく精密な浮世絵だと思えば複製だとしても年に一度33幅が見られるのは素敵なことなのかもね。

ニュースソース→京都新聞電子板




伊藤若冲関連のtext:
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第2期
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第3期
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第4期
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第5期
 若冲と江戸絵画展
 静岡県立美術館「時代を超える個性」展
 京都 相国寺承天閣美術館 「若冲」展



東京国立近代美術館 「生誕100年 靉光展 AI-MITSU」


靉光展

おそらく多くの人がそうであるように、この人の絵を初めて見たのは美術の教科書に載っていた靉光の代表作とされている「眼のある風景」だろうか。
なぜか子供の頃目の絵ばかり描いていて、睫毛はどうやって描くといいのかなー、と目医者の看板とかをじぃーっと見ていた僕は、きっとこの絵も気に入っていたに違いない。

赤と黒のうずまく横長の画面の中央に誰の目ともおぼつかぬ片目が睨んでいる不思議な絵。
でもそれだけで、目の周りのみょうちきりんな形にも、靉光という絵描き自体にも興味が広がる事はなかったようだ。
大人になってから東京近代美術館の常設展で本物を見ても、好きな絵だなとは思ってもそれ以上気になりはしなかったし、いつの時代の画家なのかすら知らないままだった。

何年か前に近美の小特集展示で靉光がクローズアップされていたときに「眼のある風景」以外の作品や素描をいくつか展示していたことがあって、そのとき初めて靉光という画家自身に少し触れられた気がした。
そして生誕100年を記念した今回の展覧会では、初期から38歳で戦病死した最晩年までのさまざまに移り変わっていったその画業をひととおり網羅していて、ようやく彼の全体像を見ることができたのだった。

チケットを切ってもらって会場に入るとまず3枚の人物画がある。父と養父と祖母を描いた木炭デッサンで、中でも「父の像」は10歳の時に描いたものなのだが、よくある画家の幼少時の「巧い」作品紹介では済ますことのできない、10歳にして既に立派なひとりの画家の(もしかすると今回の展示で一番かもしれないほどの)作品としての出来にまず驚かされる。
父の像
父の像 1917年

美校時代の石膏デッサンははっきりいって巧くない。その後のルオーやゴッホに影響を受けたという初期の作品はセンスの良さを感じさせるが、やはり「父の像」には遠く及ばない気がする。さまざまな手法や様式を試行錯誤してそれが実を結びだすのは「ロウ画」と呼ばれる技法によるシリーズぐらいから。ロウ画とは岩彩ににクレヨンやチョークを溶かしたものを混ぜて描くものだそうで、絵の具が乾くと鑞による細かいマチエールが浮かび上がる仕組み。こじんまりとまとまった小品ばかりだが、家に飾りたいなーと思うものが多かった。やっぱりこの人は力技の人ではなく、センスの人なのかも。
靉光/乞食の音楽家 靉光/編み物をする女
左/乞食の音楽家 右/編み物をする女 1934年

ロウ画の後、靉光の表現は暗い闇の中に炎の光で浮かび上がるような、どろっとした油絵へと変貌する。
そして「ライオン」の連作や「馬」などを経てあの「眼のある風景」へ至ることになる。
靉光/肖像画(貴婦人)
肖像画(貴婦人) 1938年

眼のある風景
眼のある風景 1938年

「日本のシュールレアリズムの代表作」と言われたこの作品に続き、「花園」や「静物(雉)」など暗く幻想的な作風が続くが、この辺はどうもあんまり好きじゃない。「眼のある風景」までとなにか違う。ロウ画の頃に感じたセンスやユーモラスさもなく、ただ重い。画家本人は波に乗っていた時期なのだろうが、初期よりもこの時期の方が行き詰まって模索しているように見えてしまうのはなぜだろう。
靉光/花(やまあららぎ)
靉光/花(やまあららぎ) 1942年頃

同時期に墨や鉛筆によって描かれた素描や細密画が多数展示されていた。
元々は油絵作品のために描かれていたのだろうし、初期のものはスケッチ的なものやエスキース的なものが多いが、この自由な伸びやかさはどうだろう。
靉光/蓮と太陽
蓮と太陽 1938-1939年頃

靉光/鷲と駝鳥
鷲と駝鳥 蓮と太陽 1938-1939年頃

靉光/少年/長男(石村力)の像
左/少年 右/長男(石村力)の像 1940年頃

靉光/おこぜ
おこぜ 1941年頃

靉光は宋画に代表される東洋画への関心を持っていたそうで、次第にその表現はより緻密なものとなってゆく。エッシャーを思わせるようなシュールっぽい作品もあるし、日本画のように繊細な植物画や人物画も多数あった。
靉光/作品
作品 1941年

靉光/蛾
蛾 1941年頃

靉光/男の顔2
男の顔(2) 1941年頃

靉光/男の顔
男の顔[末広一一氏の像] 1941年頃

筆で描かれたとされているが、細い細いその描線は決して流麗ではなくむしろぎこちないので、紙にひっかかるペン画のように見えてしまうのかも。茶紙に鉛筆で下絵を描き、その上に墨線を引き部分的に淡く色を乗せた百合やあけびやくちなし達は、絵画展に発表するために描かれたものではないのだろう。そしてだからこそ、直感的なセンスに満ち満ちているこれらの絵は、10歳の頃に描いた「父の像」と直結しているのだ。
靉光/くちなし
くちなし 1941年頃

靉光/畠山雅介氏の像
畠山雅介氏の像 1941年

作品として見せる事を考え、毒々しい真っ青な葉っぱを描いてしまうような油絵より、素直にただ見たものを写し取ろうとするこれらのスケッチや墨絵にこそ、靉光本来の伸びやかな精神を感じる。描く楽しみに溢れた全くてらいのないこれらの無数の断片は、一種落書き的なまでに自由奔放なのだと思う。
ほぼ同時期に並行して描かれていた幻想的で暗い西洋画と淡く明るい東洋画。これらは対比されることはあっても未だひとつに融合することは無い。

折しも時代は太平洋戦争まっただ中。兵士や国民を鼓舞する戦争画がもてはやされる中、次第に幻想的なシュールレアリズムは検閲の対象となり、瀧口修造らが治安維持法違反で検挙される時代。靉光の作風もまた変更を余儀なくされるが、油絵のどろどろした質感は変わらない。
ただ、暗喩のない、より現実的なものにモチーフやテーマを変更せざるを得なかったためか、その作風は期せずして、ひたすら動物園に通い続けて形を追い続けていた「ライオン」連作の頃に似ているように見える。
靉光/ばら
ばら 1943年頃

テーマや表現の制限からこの時期の作品はみなとても地味に見えるし、その意味では「眼のある風景」以後のシュールレアリズム的な作品群を靉光の黄金期とする見方もうなずけなくはない。けれど、この外的な制約の中でも靉光本来の、対象を凝視し描くこと自体を楽しむといった精神は失われることなく、むしろ墨による細密画に見られた素直な喜びといったものが、油絵の中にもよりはっきりと顕われてきているように感じられた。
靉光/花(グラジオラス)
花(グラジオラス)

シュールレアリズムに傾倒していた頃にはなし得なかった西洋と東洋の融合、とでもいったものが、皮肉にもここにきてようやく実を結びだそうとしていたのかもしれない。
靉光展の後で見た常設展の中に、薄っぺらいタッチでゼロ戦の発進風景を描いている、映画の看板絵のようにやたらバカでかい藤田嗣治の絵(「南昌飛行場の焼打」)なんかがあったけど、本当に靉光には、この時代に生きていて戦争をモチーフにした絵が1枚もない。

展覧会の最後は最晩年の3枚の自画像で終わる。いずれも顔を右上に向けたバストショットの構図だが、ぐにゃりと顔がひしゃげそうなもの、眼鏡をかけていて眼は描かれていない寂しげなもの、白い壁のような胸を持つどっしりとしたもの、とそれぞれすべて印象が異なっている。
誰もが絶賛するこの自画像たちは、残念ながら僕にはあまりピンとこなかった。最後の自画像を描いた翌年、召集を受けた靉光はそのまま戦地で病死してしまうのだし、おそらくはそれぞれの自画像から、時代の風圧に吹き飛ばされそうになり、負けそうにもなり、それでも自分を貫き通そうとする強い意志、とでもいったものを「感じ取る」べきなのだろう。確かに気合がはいった絵ではある。でもそこには描くことへの楽しみや喜びはなくて、なんというかとてもマッチョなもののみを感じてしまうのだ。
これを「靉光の最高傑作」とする人は多いようだが、僕にはとてもそうは思えない。それならば一番はじめの「父の像」こそが最高傑作なんだろうにと思ってしまう。おそらくはこの3枚の自画像は、家族を愛し、描くことを楽しんだ靉光の生涯の中で描かれた、唯一の悲壮な「戦争画」なのかもしれない。

当時の絵画展に出品されて話題を博した大きくて暗い画面の油絵や、戦争に殺された悲惨な画家の自画像といったものばかりを見て靉光を見た気になってしまうからこそ、光と喜びに満ち満ちた大量な素描や細密画、淡彩画を見れてよかったと思う。きっとその両方で靉光なんだろうけどね。
そして、晩年の風景画や静物画に芽生え始めていた西洋絵画による東洋的な表現が、画家の戦病死によって断ち切られてしまったことは本当に残念でならない。さまざまな模索と変遷を経てきた靉光が戦後どのような絵を描いたか、それを見ることはもう絶対にできないんだから。

府中市美術館 「動物絵画の100年 1751-1850」

江戸の動物画 美術館入口

円山応挙 森狙仙 長澤蘆雪 伊藤若冲 司馬江漢 葛飾北斎 増山雪斎 渡辺崋山 歌川国芳 東東洋 などなどの画家たちの動物絵画展に行ってきました。

府中市美術館の公式サイト

何点かの展示替えを含め全86点の展示です。(見てきたのは後期展示)

なにしろ蘆雪!いやー、蘆雪


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府中美術館に初めて行った。
自衛隊の施設の隣に並ぶ府中の森公園はそろそろ桜も終わる頃。
公園内にある美術館はまだ新しいのかとてもきれいだった。

花鳥風月には収まりきらない後期江戸時代のさまざまな絵画。昨年見た若冲や博物誌の図譜などで、すっかり江戸の動植物画に魅せられてしまった。
今回の展覧会も若冲だけにとどまらず、さまざまな画家が博物学的あるいは戯画的に描いていたことが総括できる、なかなか芯のある良い展覧会だった。
一昨年の北斎展あたりからの江戸絵画ブームにしてはそんなに宣伝をしていないのか美術館は空いていていい環境でたくさんの絵をみることができました。

菅井梅関 象図
菅井梅関 象図

増山雪斎 麒麟・鳳凰図
増山雪斎 麒麟・鳳凰図

伊藤若冲 鶴図 鯉図 親子鶏図
伊藤若冲 鶴図 鯉図 親子鶏図
昨年のプライスコレクション展にもこんな屏風があったなー。

仙鱠義梵 犬図
仙鱠義梵 犬図
臨済宗のお坊さんだそうです。
有名な人らしく、ショップではこの絵柄の煎餅売っていたよw

昨年のプライスコレクションで初めて見た長澤蘆雪
今回は期せずしてたくさんの蘆雪が見れて嬉しかった。
長澤蘆雪 群雀図
長澤蘆雪 群雀図(部分)

長澤蘆雪 虎図
長澤蘆雪 虎図(部分)

なんというかプライスコレクションのときにも思ったけど、この人の形の捕まえ方はとても西洋的だと思う。線がとても柔らかくてデフォルメが戯画的というよりは漫画的なんだよね。端正で生真面目な応挙の弟子にしてとてもおおらか。
そして今回の展覧会で一番好きだったのがこれでした。
長澤蘆雪 若竹に蛙図
長澤蘆雪 若竹に蛙図

そのうち東博とかで蘆雪展やってくれないかなー。




東京国立博物館 「光彩時空」& 法隆寺館、本館常設展 

光彩時空1

仏像展を見終わりカタログ買って外に出たらもうすっかり夜。
なにやら人が集まっていて野外でなにか始まりそうな感じ。

☆★★光彩時空 光と音が織りなす幻想夜景絵巻★★☆
東京タワー、レインボーブリッジなどの照明で脚光を浴びた照明デザインの第一人者、石井幹子氏のプロデュースによる光と音のイベント「光彩時空」。

本館、東洋館、平成館、法隆寺宝物館の6日間限定ライトアップをお楽しみ下さい。いつもとはまったく違う東博に会えるはず!
10月31日(火)~11月5日(日) 17:00~21:00
*ただし平常展、特別展ともに展示室の観覧は20時まで。特別展会場への入場は19:30までです。
*17:30から、各館の前で、尺八・箏・三弦・十七弦・笛・小鼓・大鼓・太鼓・ティンパニの演奏を順次お楽しみいただけます。


そういえばこんなメルマガが東博から来ていたっけ。
平成館前ではどうやらこれから野外邦楽演奏が始まる模様。

でも人多すぎなのでパスしてぶらぶら。

敷地内の樹や建物が色とりどりにライトアップされている…
とかいう程度ではなく、本館の壁面にはスライドで書や絵画がばんばん映し出されてるし、人はますます増えているようだしなんだか学園祭の夜のような気分になってきた。
光彩時空2
光彩時空3
ワインやピザが買える屋台が一個だけ出てたけど、もっとタコ焼きや焼きそばの屋台もあればいいのにー


ずっと修復作業をしていた表慶館もぴかぴかになってリニューアル。
表慶館

まだ中はなんの展示もしていなくて建物自体を見せる趣向。
邦楽演奏は10分ぐらい置きに各館の前で行われるから、移動のついでに表慶館にもぞろぞろ団体客のように人が入って行く。
表慶館階段

まだ学生の頃に見た表慶館は見た目立派な洋館でライオンが鎮座してお出迎えのくせに中はガラスケースに入った縄文式土器やアイヌの民族衣装や生活用具がそっけなく置いてあるだけ。人もほとんどいない地味ーな印象だったのにw

リニューアル後は室内楽などのコンサートが頻繁にに行われるらしいです。
表慶館天井

表慶館の裏口を出ると何年か前に立て直されてこれまた綺麗になった法隆寺宝物館へ続く道。東博の中でもちょっとはずれた裏手にあるこの建物は改築前は毎週木曜日しか開館されなくてほんとに地味の極みだった。
それが今じゃ最近流行のガラス張りのエントランスに小洒落たレストランも付いてる「ナウい」建物(爆)
法隆寺館
邦楽
宝物館の前でも邦楽が演奏されていてここも人がいっぱい。

新しくなってからも展示内容が渋すぎなためかあんまり人が入らない宝物館も、今日ばかりは賑わいを見せてました。
ガラスケースに収まった飛鳥仏がお出迎えだ~。
法隆寺館室内

宝物館の奥のブースでは伎楽面というお面の展示があって面白かった。
伎楽面1
伎楽面2
伎楽面3

これは今年の春に奈良東大寺で見た仮装行列のお面と同じかも?
東大寺行列

久しぶりの宝物館のダンシングクイーンズに見送られ(ピンボケ)また本館へ。
ダンシングシスターズ

本館前のユリノキは国内最大だとかで普段から素敵なんだけどライトアップもなかなかです。
ユリノキ1
ユリノキ2

http://www.geocities.jp/vovoseven/photos/200511/1/photo200511126.htm
リンク先は去年北斎展のときのユリノキ。NEXTボタンであと何枚か。
今年の紅葉はまだ先かな。写真の上でクリックすると大きくなります。

本館に戻って国宝室の観楓図屏風を見る。そのまま2階をぐるりと一周。
岩佐勝重筆の猿猴芦雁図がよい。
猿猴芦雁図1 猿猴芦雁図2

他には洛中洛外図巻という絵巻が面白かったです。(→東博サイト画像


展示は午後8時まででまもなく閉館。
外のライトショーは9時までなのでまだ人はいっぱいw
ユリノキ3
光彩時空4

正門前から入場せずに写真撮ってる人もいっぱい。
門を出て振り向けば本館の壁には仁王様w
東博正門


いや、満喫しました♪

2001年に独立行政法人となってデザイナーを立てて旧態依然の陳列をさっぱりとリニューアルしてからの東博は賛否両論かもだけど僕はとても好きだ。

まずは写真撮影可としたこと。
ホームページの資料も見やすくなり画像も充実していること。
そして美術展だけにとどまらずコンサートや映画イベントなど精力的に企画をして活性化に努めていること。

国が文化に金を割かなくなるのは寂しい事かもしれないけど税金頼みのまま、何もせずお宝11万点が苔むしてしまうには勿体なさすぎるもんね。

11月は猫の特集展示もあるし庭園も紅葉するし今年もまだまだ通うぞー!


関連text:
 東博常設展観覧の巻
 東京国立博物館 「博物図譜-写生とそのかたち-」後期展示
 東京国立博物館 「特集陳列 旅と街道」&特別展「仏像」
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ1
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ2
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ3


関連外部リンク:
 東京国立博物館 公式サイト



東京国立博物館「特集陳列 旅と街道」&特別展「仏像」

平成館仏像展

東博のパスポートを買ってから途端に上野にでかける頻度が増えた。

3日からの連休の混雑を避けるべくどんよりと曇った空の下でかける。
夜8時まで開いていると油断したら午後四時到着。
残念ながら庭園はもう閉まる時間。

うーむ。


上野に着いた途端に腹が減る。
公園内をうろうろして動物園前で豚まんをゲット。
ぶたまん1
ぶたまん2
一個250円で結構大きくてなかなかうまい。
これで夜まで持ちそうだ。

東博に到着。まずはトイレ(爆)
本館をぐるりと回って裏側のトイレついでに(失礼)
16室の日本の博物学コーナー観覧。

「特集陳列 旅と街道」というわけで東海道膝栗毛や道中絵図、
旅行用心集、大名行列の木製フィギュアなどがありました。
大名行列

懐中日時計なんてのも展示された。
日時計
方位磁針付の日時計なんだけど雨降ったら使えないのねん。

などといいつつ現代版の日時計がひそかに欲しかったりする。
http://www.assiston.co.jp/?item=898

18室にいつもいるお気に入りの小鬼を覗いてから
連絡通路を抜けて平成館へっ
小鬼


年間パスポートは企画展ごとに一回だけは無料で観覧できる。
「仏像」というスタンプを押してもらって入口へ。

市原悦子の声のガイドも借りたかったけど500円するのでやめ。
平日の午後四時すぎという半端な時間だってのに
中は意外にも混雑ー。

今回の展示は一木から台座まで彫り出した仏像がテーマ。
奈良時代の20センチほどの小さな白檀の十一面観音から始まって
江戸時代の円空仏まで。
寄木がメインだった鎌倉仏は当然なくてそれがちょっと残念。

読売新聞主催だからか結構ポップな印象。
見仏記でも有名なみうらじゅんの講演会もあったようだし。
みうらじゅん的ブツマニアも結構見に来てるのだろうな。

俺はそれほどみうらじゅん的には見てないつもりなんだけど…
でも直立した仏(特に腕なし)を見るとやはりどうしても
そのままロケット噴射して真上に発射しそうにしか見えない。
う-むいかん。あれもこれもみんな飛んで行きそうでは無いか。
ろけっと仏像


かと思えば姿勢と目つきの悪い弥勒菩薩が「よぉ」と呼び止める。この仏たちはもしかしてみうらじゅんが選んだのかな。。
みろく


どちらかといえばみうらじゅん的な仏像が多い中で
11月5日まで展示されている国宝菩薩半跏像だけは圧巻だった。
でもこれは写真載せても伝わらないので載せません。

全然違うはずなんだけどバチカンにある
ミケランジェロのピエタを見たときの印象に似ていた。
いや、完璧なものって息が詰まるんだね。

7日からは国宝十一面観音菩薩立像が寺外初公開だとのことで
今回の展覧会の一番の目玉だそうです。
これも見たいなーと思ってたけど、それ以外の展示替えはなく
なんとなくアコギな感じがするのであきらめる事にした。
後頭部の大笑面がすごそうなんだけど、
まあカタログで見たのでいいことにするw

それに十一面観音は今回の展示でお気に入りを見つけたし。
その大笑面はとてもチャーミングでした。
後頭部の写真だけ載せておくので
もし見に行く人は探してくださいね♪ 
前期後期ともに出ています。
十一面観音


それからもう一個見たいと思っていたのが重文の宝誌和尚立像。
写真で見たときにはかなーりショックを受けました。
だって顔が割れて中から顔がもう一個出てきてるんだよ!
ほら!
宝誌和尚立像

でも本物は不思議とまったくグロくなくて自然。
不思議だー。袈裟がけした尼さんもしげしげと見てました。
販売コーナ-にはこの仏の顔がアップになってる
クリアファイルとか売ってたけどそれはどうなのだろうか?

と奈良平安仏が続いたあといきなり円空と木喰コーナー。
どちらも全国を旅しながら型にはまらぬ仏を彫った人だそうで
円空の名は知ってたけど、木喰は知らぬどころか読めなくて
モックイ?とか読んでたらモクジキでした(爆

円空仏は有名だけど本物を見たのは始めてだった。
本とかで見る円空の印象は朴訥とか原始的アニミズムって
感じだったけど本物を見てびっくり。
すごーくモダンでシャープでかっこいい!

一本の丸太を縦に三つに割って三体を彫った
トーテムポールのような仏は
合体すればまた一本の丸木になるそうだ。
お気に入りは写真の鳥のような仏でした。
円空

モクジキは最後の部屋を埋め尽くすほどいっぱいあったけど
どうも好きになれなくて悪趣味な印象。好みの問題なんだろうな。

本館の仏像の部屋や京都のお寺の静謐さとは全く違う雰囲気の
今回の仏像展。おもしろかったけどやっぱりポップすぎな印象でした。



※仏像展は写真撮影は禁止だったのでカタログからスキャンしてみました~

東京国立博物館 「光彩時空」へ続く)

関連text:
 東博常設展観覧の巻
 東京国立博物館 「博物図譜-写生とそのかたち-」後期展示
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ1
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ2
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ3



関連外部リンク:
 東京国立博物館 公式サイト


国立科学博物館「化け物の文化誌」展&新館常設

ばけもの

見たい展覧会がいろいろある。

科博で開催されている化け物の文化誌展。(→公式サイト
東博の仏像展。(→公式サイト
期間限定で一般公開される東博裏の庭園。(→公式サイト
江戸東京博物館の肉筆浮世絵展。

などなど。

朝はやくから出かけて、上野での予定を一気に片付けようと思った。


と思ったら寝坊ー。。
到着した上野はもう昼下がりで、陽気な昼顔がお出迎え。
ひるがお

とりあえずすぐに見終えそうな科博へ。

企画展の大英博物館のミイラ展とかで
会場は異様に混んでいてびっくり。
こっちは常設だけが見たいのに、
小学校の団体やらなんやらで混み混みだー!ヽ(`Д´)ノ

化け物の文化誌は期待したほど図譜が出ていなくてちょっと残念。
やっぱり科学博物館の展示だし東博とは違うんだろうなあ。
それでもヘタ一生懸命な河童図とかあってよかったw

各地から取り寄せた河童、天狗、双頭の人魚のミイラは
当時の職人の手によるものだそうで、
ネコの頭蓋骨や鳥の足骨や紙などを使ってできているらしい。
その出来の良さに海外にも輸出されていたとか。

化け物の文化誌の中で紹介されていた
明治時代の物理学者、寺田寅彦の言葉が面白かった。

夏目漱石邸にも出入りしていたというこの人は
物理学者でありながら随筆家、俳人でもあったそうな。

曰く
「人間文化の進歩の道程において発明され創作されたいろいろの作品の中でも「化け物」などは最もすぐれた傑作と言わなければなるまい。化け物もやはり人間と自然の接触から生まれた正嫡子であって、その出入する世界は一面には宗教の世界であり、また一面には科学の世界である。同時にまた芸術の世界ででもある」

「昔の化け物は昔の人にはちゃんとした事実であったのである。一世紀以前の科学者に事実であった事がらが今では事実でなくなった例はいくらもある。たとえば電気や光熱や物質に関するわれわれの考えでも昔と今とはまるで変わったと言ってもよい。しかし昔の学者の信じた事実は昔の学者にはやはり事実であったのである。神鳴りの正体を鬼だと思った先祖を笑う科学者が、百年後の科学者に同じように笑われないとだれが保証しうるであろう。 」

「化け物がないと思うのはかえってほんとうの迷信である。 宇宙は永久に怪異に満ちている。 あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。 それをひもといてその怪異に戦慄(せんりつ)する心持ちがなくなれば、もう科学は死んでしまうのである。 」

理系と文系の融合による研究と随筆の発表。うーん、素晴らしい。
青空文庫などでこの人の文章が読めるようなので興味がある方は見てみてください。

「化け物の進化」(→青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2346_13810.html

「科学について」(→青空文庫


別会場では南方熊楠展も開催されていてキノコや菌の資料がいっぱいあった。
http://www.kahaku.go.jp/event/2006/10minakata/index.html

薄く斬ったキノコをノートに貼付けてあったりして
この人もまあ寅彦の言う「化け物」に取り憑かれた人なんだろう。

でもやっぱり本物のシダやキノコが押し花されているよりも
それを描いた図譜の方にのみ興味を惹かれてしまう俺であった。
ほんとに根っからのド文系なんだなー、俺は。


続いてせっかくだから、と常設展示へ。

科博は子供の頃に恐竜の骨を見た覚えがあるけど
ほんとに30年ぐらいぶりなのでほとんど覚えてない。

奥に行くと新館があって、こんなに広い敷地だったのかと思う。
最近は見せ方がデザインされていて、なんか未来チックw
かはく新館<

でも内容は昔と変わらず
宇宙の誕生から地球上の生物の進化の過程、微生物から恐竜、
海の生物、地上の生物、人間の誕生からその発明、科学まで…
まんぼー
ほね

地下2階から地上3階までまあ広すぎですw
展示物も本物の標本から化石や剥製、樹脂で作ったものまで
どれが本物でどれが作り物かさっぱりわからない。
巨大なゼロ戦は復刻かな?でもちゃんと飛んで欲しいな。

でもきっとここはそういう見方をするのではなくて
科学的好奇心ってやつを満喫するためにあるんだろう。

実際夫婦やカップルの客は美術館とかとは逆に男性の方が興味津々で
疲れた顔のご婦人の横で得意げに解説しているおじさんや
「もっとゆっくり見て来てもいいわよ」と奥様に言われている
旦那さんとかもいましたw

かくいう俺はほんとに科学的好奇心が欠如してるみたい。
骨格が美しいなー、という見方ぐらいしかできん・・

でもやっぱり体験コーナーはちょっと楽しかったw
つってもマジックミラーぐらいなんだけどね。

いまじゃパソコンソフトで素人が簡単に画像加工できる時代だけど
モニターの中ではない現実の(?)虚像の楽しみは
なんというか逆に新鮮で、ある意味衝撃でした(オーバー)。
ミラー

後は江戸時代の科学コーナーはなぜかとても親しみを感じました。
超リアルな木製(ツゲみたいな光沢ある材質)の人骨の模刻や
動植物の図譜。その造形や線は見ていてとても楽しい。
江戸解剖学

江戸時代は不定時法といって、日の出から日没までを基準に
昼と夜をそれぞれ6等分したものを一刻としたので
夏と冬では昼間と夜の一刻の長さが違うのが特徴なんだけど
その不定時時法の万年時計があって感動しましたよ。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200601/column/015.htm

これ欲しいなー。とても欲しい(笑)


と、一通り科博を見て回ったら閉館時間に・・
化け物の文化誌のカタログを買おうかと思って急いでミュージアムショップに行ってみたけど、まるで教科書みたいで図版も小さくてがっかりしたので買わなかった。

やっぱり科学博物館とは巨大で立体的な図鑑なんだなあと思った。
子供の頃、まだ科学的好奇心旺盛な頃にここに通ってたら
きっと超楽しかったろうが、まったく反対側に固まってしまった
今の俺にはお勉強っぽくていまひとつ合わないみたいです。。

外に出たらもう真っ暗。
当然東博も閉まっているし、今日はこれでおしまい。

しかし上野ってゆっくりくつろげる食事処を知らない。
公園内の精養軒も知らぬ間にリニューアルしていて
ただ高いだけの使えない店になってしまったしなあ。
仕方ないので駅の近くの公園入口にある学食みたいなところで
値段だけはちゃんとしているカレーを食った。

ここのオープンテラスは日が暮れるとわらわら猫が集まってくる。
外で食事している客がいればその下にじーっと座って
おこぼれを狙う算段のようだ。
こういう人の多い公園内の地域猫は食いっぱぐれなくていいね。
通過猫
とらねこ



東京国立博物館 『博物図譜-写生とそのかたち-』後期展示

曼珠沙華

10月1日から全国の4つの国立博物館の料金が値上げになります。

そこでセコイ俺は、あわててその前日に上野に出向き
東博の年間パスポートってやつを買いに行って来たのでしたw
オバサマガタが10人ほど並んでた~。んーさすがだ・・

このパスポートは1年間有効で、
常設展のみなら何度でも入場できて
特別展は各特別展ごとに1回ずつ計6回まで入場できます。
買うときにパスに名前を書き、一応自分のみ使用可ということに。

9月30日の今日までは3000円なので(10月からは4000円)
10月からの仏像展、その後のニュージーランド展と
見たい特別展を2つも見たら元が取れるわけだ。

今日はまだ常設展のみだったけど、パスポートも買ったし
ぶらぶら観覧してまいりました。
行く度に展示替えがあるから飽きないのよね。
常設だけでもやたらに広いし空いてるし。

というわけで本日は常設の特集展示『博物図譜-写生とそのかたち-』の後期展示をじっくり見てきました。
前回はデジカメのバッテリー切れに泣いたけど今日はもう撮りまくりw

バッテリーもメモリーもきっちり使い切りましたw 
暗い照明の中で撮った写真は手ぶれやピンボケだらけだったけど
常設展はカタログ無いので撮影できるようになってとても嬉しいのでした。

三十三
三十三間堂から3体がご出張(撮影禁止作品のため影のみ)

さる
猿猴図 狩野山雪


さて、ここから後はおめあての『博物図譜-写生とそのかたち-』。
本草図説
本草図説/岩崎灌園筆より

目八譜
目八譜/服部雪斎筆より

カボチャ部分
農作物・果樹類図/山田清慶・服部雪斎他筆より


前期の蟹の図の展示で好きになった関根雲停は 、今回は魚が展示されていました。
学者然とした硬い図が多い中、雲停は 荒々しいとも言える描線で活写しています。

うーん、カッコイイ!
魚譜1
魚譜4
魚譜/関根雲停筆より


雲停と並んでよく出てくる名前が中島仰山。
この人の図は、なんというか不思議。
例えばアンリ・ルソーを思わせるその図は決して素描力があるとは言えません。
ただ前期の野猫もそうでしたが、毛並みに異常にこだわったりしていて図全体の雰囲気はなぜか非現実的な感じになるのです。
カンガルー
博物館写生図/中島仰山筆より


この山田なにがしも同じ雰囲気かも
水牛ノ児<
博物館獣譜/岩崎灌園他筆より


下の風狸は文字を読むと「野菜を荒し、人家の壁を壊し、網で捕えて雀を与えれば血を吸い、蚯蚓(ミミズ)を食う」となかなかコワイ
博物館獣譜
博物館獣譜/岩崎灌園他筆より


他、好きだったもの。
博物館漁譜
博物館魚譜/博物局編、栗本丹洲筆より

果樹類図
農作物・果樹類図/山田清慶・服部雪斎他筆より

パイナップル
遠西舶上画譜/馬場大助筆より

ほんと、もっと普通に買える博物図譜の書籍があればいいのになあ・・・



関連text:
 東博常設展観覧の巻
 東京国立博物館 「特集陳列 旅と街道」&特別展「仏像」
 東京国立博物館 「光彩時空」& 法隆寺館、本館常設展
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ1
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ2
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ3



関連外部リンク:
 東京国立博物館 公式サイト



東博常設展観覧の巻

秋雨の合間を縫って行ってきました上野東博。

大騒ぎだった若冲展も終わった常設のみの展示だから
空いてるだろうと思いきや案外盛況でなぜかちょっと嬉しい。
常設展示だけなのに入場料420円は高いよなーと思ったけど
結構お腹いっぱいになりました♪

今日の目当ては「日本の博物学シリーズ 特集陳列 博物図譜-写生とそのかたち-」
公式サイト

写真撮りまくるぞーっと思っていたらバッテリー切れ。。_| ̄|○
展示替えした後期(9/20~10/15)にリベンジの予定・・

デッサン狂いまくりなのにめちゃくちゃ羽が細密描写な鳥なんかもありましたが、蟹、ふぐ、野猫、桜大根などがすごくよかった。中島仰山、服部雪斎、関根雲停、田中房種などまたお気に入りの絵師が増えました♪

博物図譜以外では、酒井抱一の屏風絵がよかったなー。
もともとは尾形光琳の風神雷神図の裏に描かれていたらしいのですが、屏風を閉じると外側に露出してしまい傷みやすいとのことで昭和49年に分離して独立した屏風にしたそうです。

夏草図屏風 酒井抱一筆
こちらが夏草。

秋草図屏風 酒井抱一筆
こちらが秋草。


雷神の裏に夕立に打たれ頭を垂れる夏草を、風神の裏には野分の風に吹きあおられる秋草をと、対応させて描いたとのこと。
若冲なんかもそうだけど生きとし生けるものに仏や神を顕すってことなのかな。
オモテ面の風神雷神図の金箔に対しての銀箔も渋くてよいかんじ。
展示期間は9/18までなので、ご覧になる方はお早めに。

それと東洋館の 特集陳列「中国書画精華」の中の紅白芙蓉図がよかった。宗時代の絵なのですが夕闇に浮き上がるような花がとても幻想的でした。こちらの展示は10/1まで。

紅白芙蓉図 李迪筆 


あ、ちなみに9/18の敬老の日は年に一度の入場料無料の日なので近くに行く方は是非立ち寄ってみてくださいませ~。

10月からの仏像の企画展も楽しみだー!



関連text:
 東京国立博物館 「博物図譜-写生とそのかたち-」後期展示
 東京国立博物館 「特集陳列 旅と街道」&特別展「仏像」
 東京国立博物館 「光彩時空」& 法隆寺館、本館常設展
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ1
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ2
 東京国立博物館 平常展無料観覧日 ソノ3



関連外部リンク:
 東京国立博物館 公式サイト



花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> -第5期-

夏休みの混雑を避けて9月に入ってにしよう思っていたら
気がつけばもう終了間近であわてて行ってきましたっ。

圧巻だった第4期に比べると落ち着いてたけど
鯛の鱗がもの凄かったですw 
多分魚屋で買ってきた魚見て描いたっぽい・・

若冲以外の絵巻とかもよかったな。
これで終わりかと思うと寂しいです。

老松孔雀図 芙蓉双鶏図 薔薇小禽図 群魚図(蛸) 群魚図(鯛) 紅葉小禽図


春から通いはじめて、国宝「動物綵絵」全30幅
きっちり拝ませていただきました。
なんてったって無料♪ 修復も見事でした。

動植綵絵は、釈迦三尊図(全3幅)と併せて
若冲が京都相国寺に寄進したものだったのだが
明治の廃仏毀釈の難を逃れるべく宮内庁に献上されたとのこと。

ちなみに2007年5月13日~6月3日の期間
動植綵絵は相国寺横の承天閣美術館に里帰りして
釈迦三尊図とともに全30幅まとめて展示されるそうです。
どうあってもこれは行かねばなるまい・・・




伊藤若冲関連のtext:
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第2期
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第3期
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第4期
 花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第5期
 若冲と江戸絵画展
 静岡県立美術館「時代を超える個性」展
 京都 相国寺承天閣美術館 「若冲」展
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